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アステラス税理士事務所 坊山由美先生

2025年11月17日のインタビューをもとに記事を作成しています。

目次

先生のご出身と、学生時代について教えていただけますか。

坊山先生:出身は東京都大田区です。小・中学生の頃は、正直に言うと勉強そっちのけで遊んでばかりでした。高校受験のときには先生から「このままだとどこも受からないよ」と言われてしまうくらいで(笑)、そこが人生最初の転機でした。「このままではいけない」と気持ちを切り替えて勉強に向き合い、商業高校に進学しました。高校では簿記の勉強に力を入れつつ、ダンス部にも所属していましたが、途中で足を怪我してしまい退部。その分、簿記の勉強により集中できるようになりました。卒業後は大学ではなく大原簿記学校に進み、税理士試験の勉強をスタートしました。5科目のうち4科目までは順調に合格したものの、最後の1科目がどうしても受からず、2回挑戦してダメだったときはさすがに気持ちが折れてしまって……。そこで一度気分転換も兼ねて明治大学に進学しました。大学では、最初は年下の同級生たちと楽しく遊ぶことが多かったのですが、4年生の後半になって「やっぱり残り1科目を取らないとまずい」と再び火がつきました。そこからもう一度受験勉強に集中し、最終的には無事合格することができました。一度諦めかけても、期限ギリギリで踏ん張って取り切った経験は、今の粘り強い仕事ぶりにもつながっていると感じています。

税理士を目指されたきっかけは?

坊山先生:私が高校生の頃は、「女性も手に職を持って社会で働いていこう」という流れが強まっていた時期でした。簿記の勉強が嫌いではなかったこともあり、「税理士なら結婚や年齢に左右されずに、長く自分の力で働き続けられるのでは」と感じたことがきっかけです。税理士試験には大学院で科目免除を受ける道もありますが、「それなら最初から自分の力で合格したい」という気持ちが強く、あえて受験で全科目を取る道を選びました。時間はかかりましたが、自分の力だけでやり切ったことは今も大きな自信になっています。

独立を決意された理由を教えてください。

坊山先生:最初に勤めたのは大手の税理士法人でした。朝から晩まで働く環境で、会社顧問の仕事はどうしてもルーティンになりやすく、「このまま続けていて自分は成長できるのだろうか」と、やりがいを見失いかけていました。そんなときにご縁があって相続専門の事務所に移ったことで、仕事の景色が一変しました。相続は、財産構成も家族関係も一つとして同じケースはなく、毎回、人生ドラマと向き合うような仕事です。「これは続けたい」と心から思える分野に出会えた瞬間でした。一方で、勤務税理士には定年や働き方の制約があります。ちょうどその頃、両親が同じ時期に認知症になり、通院の付き添いや緊急対応が必要な状況になりました。勤務の立場のままでは、家族のケアと仕事を両立することが難しいと感じ、「自分で働き方を選べるようにしたい」という思いから独立を決意しました。開業したのは約4年前。家族の介護と仕事の両立に向き合ってきた経験は、「ご家族のこれからの生活をどう守るか」を一緒に考える、今の相続業務にも大きく活きています。

仕事をする上で大切にしていることは?

坊山先生:一番大切にしているのは、「節税だけに偏らないこと」です。相続では、いくら税金が安くなるかという数字ももちろん重要ですが、
・亡くなられた方がどんな思いで財産を残したのか
・残されるご家族が、将来どのように暮らしていきたいのか
・10年後、20年後にその財産がどう活きているか
といった「ストーリー」まで含めて考える必要があります。
特に、会社経営者の方の場合は、株式を誰に承継させるかで今後の事業の行方が大きく変わります。短期的な節税だけを見るのではなく、事業承継後の経営体制やご家族の関係性も含めてご提案することを心掛けています。
また、税務調査で指摘されないよう、丁寧で正確な申告書を作ることも大事な責任です。細かい部分まで確認を重ね、安心していただける申告を常に意識しています。

事務所の強みはどんな点でしょうか。

坊山先生:まず、「相続に特化した女性税理士」である点は大きな強みだと思っています。相続では、代表相続人が奥様であるケースも多く、「男性税理士と2人きりだと、家庭のリアルな話まではしづらい」と感じる方も少なくありません。私はよく「話しやすい」「物腰が柔らかい」と言っていただくことが多く、旦那様との関係や、これまで抱えてこられたお気持ちも含めて、本音で話していただけることが多いです。相続の背景にある感情面も大切にしながら、手続きだけでなく心の整理のお手伝いができればと思っています。また、相続の世界は専門用語が多く、一度の説明ではなかなか理解しづらい部分もあります。そのため、「言い方や例えを変えながら何度でも説明する」また、「口頭だけでなく、後から読み返せるように文章でも残す」といった「わかるまで寄り添う」姿勢を大切にしています。「難しい相続の話を、噛み砕いて説明してくれる」「家族にもそのまま説明しやすい」といったお声をいただけることが、何より嬉しいですね。

印象に残っているお手伝いの事例はありますか。

坊山先生:とても印象に残っているのは、「ご主人に大切にされてこなかった」とお話しされていた奥様の相続を担当したときのことです。その方は、自信をすっかり失っておられ、「これからどう生きたらいいのかわからない」とおっしゃっていました。相続の手続きを進める半年ほどの間、何度もお話を重ね、ご不安を一つひとつ整理していく中で、少しずつ表情が明るくなっていかれました。最終的には、「もう、自分の人生を生きていいのよね」とご自身で言ってくださるようになり、家の建て替えを決断されたり、ご兄弟と旅行に行かれたりと、大きな一歩を踏み出されました。最後に「担当があなたで良かった。次は私の相続もお願いね」と言っていただけたときは、本当に嬉しかったです。相続税の申告だけでなく、その方のこれからの人生の一場面に関われたことは、私にとっても忘れられない経験です。

相続や節税の実践的なアドバイスをお願いします。

坊山先生:相続は、「亡くなってからできること」に限りがあります。だからこそ、生前の準備がとても大切です。特にお勧めしているのは、遺言書の作成です。お子さんのいないご夫婦が増えており、奥様の相続が終わったあとは、奥様のご兄弟が相続人になるケースが増えています。ご主人側の財産が、全く関係のない家に渡ってしまうことも現実に起きています。そうならないように、「自分の意思で誰に何を残したいのか」を遺言書できちんと形にしておくことが大事です。また、遺留分対策として生命保険を活用するのは有効ですが、受取人の設定を間違えると、想定した効果が得られないこともあります。小規模宅地等の特例も、要件を一つ満たしていないだけで使えない場合があります。元気なうちに、遺言書、生命保険の受取人、自宅や会社の株式の承継先など、早めに税理士へ相談していただくことをおすすめします。

良い税理士を選ぶポイントは?

坊山先生:「相続専門」とホームページに書いてあっても、実際にどれくらい相続案件を扱っているか、どれだけ丁寧に向き合ってくれるかは、会ってみないとわかりません。ですので、初回相談を活用して、相続に関する質問をいくつかしてみるのが良いと思います。説明のわかりやすさや、こちらの不安にきちんと向き合ってくれるかどうかを、ぜひ確認してみてください。もう一つ大切なのが、人柄や相性です。相続は一度きりの手続きではなく、その後のご家族とのお付き合いが続くことも多い分野です。「この人なら本音で話せる」「つまずいたときに相談しやすい」と感じる税理士を選んでいただくのが一番だと思います。

今後の展望を教えてください。

坊山先生:最近、地元でもある池袋に事務所を移転しました。池袋は少し歩くと落ち着いた住宅街が広がり、相続に悩んでいるご家庭も多い地域です。これからは、池袋という地元に根ざした税理士として「相続で悩んだら、まず相談してみよう」と思ってもらえる存在になり、より多くの方の力になれる事務所に育てていきたいと考えています。地域の司法書士・弁護士・不動産業者などの専門家とも連携しながら、「ここに相談すれば、相続まわりをトータルでサポートしてもらえる」と感じていただける体制を整えていきたいですね。

税理士紹介ナビ編集部

最後に坊山先生の趣味についてお聞きしてみました。

坊山先生

坊山先生:以前はスポーツジムに週5で通うほどの運動好きでしたが、無理をしすぎてヘルニアになってしまい、その後はラテアートにハマりました。カフェで出てくるような可愛いラテを自分で作るのが楽しくて、かなり凝っていました。
今は、両親が飼っていた犬と一緒に暮らしており、生活は完全に「犬ファースト」です(笑)。休日は大きな公園に連れて行って一緒に散歩をしたり、のんびり過ごしたりしています。相続のお仕事は人の人生に深く関わる分、気持ちが張り詰めることも多いので、毎日わんこに癒やされる時間が、私にとって大事なリセットになっています。

代表者名坊山 由美
会社名アステラス税理士事務所
会社URLhttps://asteras-tax.com/
住所東京都豊島区池袋2丁目11-9 BLOCKS IKEBUKURO 409号室
電話番号090-8795-8887

この記事を書いた人

アドバイザーナビが運営する「税理士紹介ナビ」ではおすすめの税理を紹介しています。これまでアドバイザーナビは「資産運用ナビ」を中心に適切なプロフェッショナルのプラットフォームを構築してきました。税理士紹介ナビでは、税理士へのインタビューやアンケート調査などを通じて、税理士や税金にまつわる情報発信をしていきます。

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