この記事は10月6日に実施したインタビューをもとに作成しています。
先生のご出身と学生時代について教えてください。
井澤先生:出身は東京都品川区の西大井という地域で、実家で長く暮らしていました。実は今、事務所の登記もその実家の住所でしています。中学のときは吹奏楽部でパーカッションを担当していました。そこから音楽が大好きになって、高校・大学と進んでもずっと音楽を続けていました。大学ではバンドサークルに入り、ドラムを担当していましたね。
大学卒業後も一年ほどは就職せず、「バンドで食べていくぞ!」と夢を追っていました。当時働いていた居酒屋の仲間たちと「とうふマン」というバンドを組み、YouTubeにもプロモーションビデオを上げたりもしてました。ただ、なかなか芽が出ずに、現実を見て就職を決めたという流れですね。中学から数えると、音楽は10年以上続けていました。まさに「音楽漬けの学生時代」でしたね。
税理士を目指されたきっかけを教えてください。
井澤先生:バンド活動をやめたあと、最初に就職したのがマリンバ(木琴の一種)を製造しているメーカーでした。営業職として働いていて、日本に営業担当が2人しかいないという環境で、私は東日本全域を任されていました。北海道から静岡まで担当しており、出張続きの毎日でした。ただ、マリンバというのは非常にニッチな分野なんです。この先ずっとこの楽器を売り続けていくことに不安を感じ、「自分の力で食べていけるスキルを身につけたい」と思ったのがきっかけでした。
そこで簿記3級から勉強を始め、会計事務所に転職して実務経験を積みました。5年ほどかけて税理士資格を取得し、その後は所属税理士として3年ほど勤務しました。経験を重ねるうちに「自分の事務所を持ちたい」と思うようになり、独立を決意しました。
独立を決意された理由を教えてください。
井澤先生:もともと独立志向が強かったのもありますが、決定的だったのは「経営者と同じ目線で話したい」という思いです。勤務税理士として、経営コンサルティングの仕事をしていた際、雇われの立場だと「経営者の視点に立った話」がどうしても難しかったんです。
やはり自分でリスクを取っていないと、経営者の悩みを本当の意味で理解するのは難しい。そこで、「自分も経営者としての立場に立ち、同じ目線でお客様と話したい」と思い、パートナーの松掛とともに、1年ほど準備期間を設けて独立しました。
仕事をする上で大切にしていることは?
井澤先生:最も大切にしているのは「レスポンスの速さ」です。税金や経営の相談は不安を伴うものですから、返事を待たせるとお客様を不安にさせてしまいます。ですので、基本的には「その日のうちに必ず返信」を心がけています。たとえすぐに答えが出せない案件でも、「検討させてください」と一言でも返信をして、連絡を止めないことを心がけています。スピード感が安心感につながると考えています。
事務所の強みについて教えてください。
井澤先生:大きく2つあります。1つ目は「財務に基づいた経営コンサルティングができる」という点です。多くの企業は「なんとなく黒字」「なぜ赤字かわからない」という状態に陥りがちです。そこで財務分析を行い、原因を明確化し、未来に向けた打ち手を一緒に考えます。数字を軸に経営判断を支援することが当事務所の特徴です。
2つ目は「クラウド会計に強い」という点です。これまで約20社のクラウド会計導入を支援してきました。複数のメンバーがはfreee会計のエキスパート資格を持ち、マネーフォワードの認定アドバイザーにも登録しています。クラウド会計は便利ですが、何も知らずに導入するとデータがぐちゃぐちゃになりがちです。特に売掛金が残り続けたり、マイナス表示になるなどのトラブルもあります。そのため、導入時からプロが関わることが大切だと思います。当事務所では、経営コンサルティングとクラウド会計、この2本柱でサポートを行っています。
印象に残っているお手伝いの事例を教えてください。
井澤先生:特に印象に残っているのは、売上約7億円の運送業の企業をサポートしたときのことです。社長は親分肌の方で、数字にはあまり強くありませんでした。利益が出ない状況が続き、経営基盤を整えたいというご相談を受けました。まずヒアリングで状況を把握し、財務分析を行ったところ、固定費の割合が高く、粗利益が年々減少していることが判明。現状を放置すれば3年後にはキャッシュアウトする可能性があると試算されました。原因を探ると、受注件数の減少や低単価受注、営業活動の停滞などが要因でした。
また、不要な経費も散見され、まずは固定費の削減から取り組みました。並行して営業活動を強化するため、トークスクリプトを作成し、見込み客リストを整備。経営会議で行動計画を立て、PDCAを回す仕組みを構築しました。結果、受注件数が前年比10%増加し、利益率も改善。無駄な経費が年間数百万円削減され、賞与も支給できるようになりました。社長からは「会社の未来が見えるようになって安心した」と感謝の言葉をいただき、私自身も非常にやりがいを感じた案件でした。
相続や節税の実践的なアドバイスをお願いします。
井澤先生:まず相続税対策については、「評価額を下げる」ことがポイントです。特に土地の場合、「小規模宅地等の特例」を活用すれば、最大80%まで評価額を減らすことが可能です。また、生前贈与も有効で、暦年贈与制度を使えば年間110万円まで非課税で資産を移転できます。さらに、生命保険の非課税枠(法定相続人×500万円)を活用することで、相続財産を圧縮する方法もあります。
法人税対策では、「中小企業経営強化税制」によってクラウドサービスやサーバーなどの投資に対し即時償却や税額控除を受けることができます。また、「倒産防止共済」を活用すれば掛金を損金算入でき、将来的に全額戻る仕組みもあるため有効です。出張日当の設定も有効な節税策で、給与課税を受けずに会社の損金とできる点がメリットです。個人の節税では、iDeCoや新NISA、ふるさと納税の活用が基本です。ふるさと納税は上限内であれば実質2,000円の負担で返礼品がもらえますし、住民税の前払い的な効果もあります。これらをうまく組み合わせることで、無理のない形で税負担を軽減できます。
良い税理士を選ぶポイントを教えてください。
井澤先生:まず1つ目は「目的に合った税理士を選ぶこと」です。価格を重視するのか、サービスの質を重視するのかで選ぶべき相手が変わります。料金が安い事務所は時間をかけにくいため、相談のレスポンスが遅いケースもあります。一方で、多少費用をかけても丁寧に対応してくれる事務所を選ぶと満足度は高いです。2つ目は「フィーリングが合うかどうか」。実際に会って話したときの感覚が大切です。中には専門知識があっても上から目線だったり、コミュニケーションが合わない方もいます。税理士は長い付き合いになる存在なので、「この人なら話しやすい」と感じるかどうかを重視して選んでほしいですね。
今後の展望をお聞かせください。
井澤先生:今後はクラウド会計に加えて、AIを活用した税務・経営サポートを展開していきたいと考えています。例えば、AIによる源泉徴収の判定や、経営データの自動分析など、手間を減らしながら高精度な支援ができる仕組みを構想中です。また、将来的には「海外移住スキーム」など、グローバルな節税支援にも取り組む予定です。日本では課税が重くなりがちなケースでも、海外移住によってメリットを享受できるような選択肢を提供したいと考えています。
税理士紹介ナビ編集部最後に井澤先生の趣味についてお聞きしてみました。



趣味はやはり「ドラム」ですね。最近は忙しくてなかなか叩けていませんが、音楽は今でも大好きです。
ただ、バンドというのは一人ではできないので、メンバーが集まらないとなかなか難しいんですよね。みんな仕事や家庭があるので、もう何年も一緒に演奏できていません。
あとは漫画を読むのも好きです。休みの日はゆっくり漫画を読んでリフレッシュしています。
| 代表者名 | 井澤 丈敏 松掛 隆昭 |
| 会社名 | M&I税理士法人 |
| 会社URL | https://mi-tax.net/ |
| 住所 | 東京都品川区西大井2-14-28 |
| 電話番号 | 050-1809-3325 |











