監査法人へ転職するには?資格なし・未経験で応募できる部門とBIG4・中小の選び方

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監査法人へ転職するには?資格なしで応募できる部門

監査法人へ転職するには、公認会計士の資格が必要なのでしょうか?

監査意見を出す仕事は公認会計士にしかできませんが、監査法人で働く人がすべて会計士というわけではありません。公認会計士・監査審査会の調べでは、大手監査法人の人員のうち、社員と公認会計士(試験合格者等を含む)以外の人が37%を占めていました。ITの専門家や監査アシスタントなど、資格がなくても応募できる仕事があります。

資格の有無と前職の経験によって、応募できる部門と狙いやすい監査法人の規模は変わります。

この記事でわかること
  • 資格の有無で応募できる監査法人の部門
  • 監査法人が中途採用で人材を求めている理由
  • 資格なし・未経験から監査法人に入る方法
  • BIG4・準大手・中小監査法人の違い
  • 応募前に監査法人の体制を確かめる方法
目次

監査法人への転職は資格の有無で応募できる部門が変わる

監査法人の中途採用は、部門ごとに応募資格が決まっています。

公認会計士が必須の部門もあれば、ITや経理の実務経験だけで応募できる部門もあります。

監査法人の部門ごとの仕事内容

監査法人の仕事は、大きく次の4つに分かれます。

部門・職種主な仕事
監査・保証上場企業などの決算書が正しいかを確かめ、監査意見を出す。内部統制の監査も含む
アドバイザリー上場準備(IPO)、会計基準の導入、内部統制の整備、サステナビリティ情報の開示などを支援する
IT監査・システムリスク企業の会計システムやITの管理体制を確かめ、監査チームのデータ分析を支える
監査アシスタント残高確認状の発送と回収、報告書類の準備、データの整理など、監査チームの補助をする

監査・保証は監査法人の中心となる仕事で、公認会計士と試験合格者が担います。アドバイザリーやIT監査、監査アシスタントは、会計士以外の専門職や事務職が多く働く仕事です。

監査法人の監査業務に公認会計士の資格が必要なのはなぜ?

決算書の監査を行い、意見を出す仕事は、法律で公認会計士と監査法人だけに認められているためです。公認会計士法は、他人の求めに応じて報酬を得て財務書類の監査や証明をすることを公認会計士の業務と定め(第2条第1項)、公認会計士や監査法人でない人がこの業務を営むことを禁じています(第47条の2)。

ただし、資格のない人が監査チームに一切関われないわけではありません。監査アシスタントやIT専門家は、監査意見を出す会計士の判断を支える立場で、監査の現場に加わります。

※ 出典:e-Gov法令検索「公認会計士法」

資格・状況別に応募できる監査法人の部門

BIG4監査法人の公式の中途求人(2026年10月時点)で確認できた募集を、資格・状況別にまとめました。

資格・状況応募できる主な部門・職種
公認会計士(登録済み)監査・保証(会計監査職・監査職)、アドバイザリー全般
論文式試験の合格者会計監査職、IPO・会計財務報告・内部統制のアドバイザリー
USCPA(米国公認会計士)会計監査職(経理経験などの追加条件あり)、IPO・英文会計のアドバイザリー
短答式試験の合格者監査業務に就く有期のスタッフ職(トーマツのジュニアスタッフ)
資格なし(IT・SEの経験)システム監査・システムリスク、IT監査・アドバイザリー
資格なし(経理財務の経験)会計財務報告アドバイザリー、上場準備の支援
資格なし(事務の経験)監査アシスタント、データ処理アシスタント
資格なし(会計士を目指す)監査トレーニー(EY新日本。働きながら公認会計士・USCPAを目指す)

※ 出典:有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人の中途採用ページ(2026年10月16日確認)。応募条件の細部は求人ごとに異なります

大手監査法人では、社員・公認会計士(試験合格者等を含む)以外の人員の割合が、令和3年度の33%から直近では37%に増えました。資格を持たない専門職の採用は、大手を中心に広がっています。

社員・公認会計士以外の人員の割合

監査法人の規模別・直近の年度

大手監査法人
37%
準大手監査法人
26%
中小監査法人
25%

出典:公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」。公認会計士には試験合格者等を含む。大手の令和3年度は33%

監査法人が中途採用で人材を求めているのはなぜ?

上場企業の監査を担う監査法人が大手から中小へ広がっていることと、毎年の試験合格者だけでは人手をまかなえないことが理由です。

中小監査法人が監査する上場会社の割合は27.5%に増えている

上場企業の監査は、かつては大手監査法人がほとんどを担っていました。いまは中小規模の監査事務所が監査する会社が増えています。

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監査人の規模令和4年3月末令和8年3月末
大手監査法人63.8%56.6%(2,177社)
準大手監査法人15.7%15.9%(610社)
中小規模監査事務所20.5%27.5%(1,056社)

※ 出典:公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」。上場国内会社(令和8年3月末は3,843社)の会社数ベース

中小規模の監査事務所が監査する上場会社の割合は、4年間で20.5%から27.5%に増えました。監査する会社が増えれば、それを担う会計士やスタッフも必要になります。なお、時価総額で見ると、大手監査法人が上場会社の9割以上を監査しています。

中小規模監査事務所が監査する上場会社の割合

令和4〜8年の各3月末・上場国内会社の会社数ベース(%)

0 10 20 30
20.5%
23.4%
24.7%
25.9%
27.5%
R4R5R6R7R8

出典:公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート 主なポイント」

大手監査法人から準大手・中小へ監査を移す会社が続いている

会社が監査法人を変えることを「監査人の交代」といいます。監査人を変えた上場国内会社は、令和8年6月期に133件で、直近5年間で最も少ない件数でした。

件数は落ち着いてきたものの、大手監査法人から準大手監査法人や中小規模の監査事務所へ変える傾向は続いています。審査会は、交代の理由として監査報酬の増額や、会社の規模に合った監査対応を求める動きを挙げました。監査を続けられない理由に「十分な人員の確保が見込まれない」ことを挙げたケースもありました。人手が足りないことが、監査の担い手を変えるきっかけの一つになっています。

※ 出典:公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」Ⅲ章「監査契約の新規締結及び会計監査人の異動」

公認会計士試験の合格者だけで監査法人の人手は足りる?

令和7年の公認会計士試験の合格者は1,636人で、平均年齢は24.6歳でした。合格者の多くは学生や受験に専念していた人で、出願時に会社員だった人は89人です。

審査会によると、大手監査法人は論文式試験の合格直後に合格者を採用することが多く、公認会計士の中途採用の割合は低い傾向にあります。一方、準大手監査法人と中小監査法人は合格者を十分に採用できない法人が多く、主に大手監査法人を辞めた会計士を中途採用して人員を確保しています。

大手監査法人の中途採用では、会計士以外の専門職が中心です。あずさ監査法人の2026年6月期の採用実績では、中途採用186名のうち、会計士・試験合格者等は20名、会計士以外のプロフェッショナルが152名、監査アシスタントが14名でした。審査会の記述とあわせると、会計士の中途採用は準大手・中小が中心で、大手の中途採用は資格のない専門職が多いといえます。

あずさ監査法人の中途採用186名の内訳

2026年6月期の採用実績

会計士以外の専門職
152名
会計士・試験合格者等
20名
監査アシスタント
14名

出典:有限責任あずさ監査法人「AZSA Quality 2026/27」。会計士以外の専門職は報告書の「会計士以外のプロフェッショナル」

※ 出典:金融庁「令和7年公認会計士試験の合格発表」、公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」、有限責任あずさ監査法人「AZSA Quality 2026/27」

公認会計士・試験合格者が監査法人へ転職する進め方

公認会計士や試験合格者の転職は、監査法人に戻るのか、初めて監査の実務に就くのかで進め方が変わります。

事業会社やコンサルから監査法人に戻る方法

一度監査法人を辞めて事業会社やコンサルに移った人が、監査法人に戻るケースは珍しくありません。大手監査法人には、退職者の再入社を受け入れる制度があります。トーマツは退職者向けの「カムバック採用」を、EY新日本は過去5年以内に在籍した人を対象にした「ジョブ・リターン制度」を設けています。

大手に戻る以外に、準大手や中小監査法人へ移る道もあります。準大手・中小は大手出身の会計士を中途採用の主な対象にしており、事業会社で経理や内部監査を経験した人は、監査を受ける側の視点を持つ人材として評価されやすくなります。戻るときの職位や年収は、離れていた期間とその間の仕事の内容で変わるため、選考の中で確認しておきましょう。

監査経験の浅い合格者やUSCPAが監査法人で評価される点

論文式試験に合格したものの監査の実務経験が浅い人は、前職で身につけた業界の知識が評価につながります。金融機関や製造業など、特定の業界の仕組みを知っていると、その業界の会社を監査するチームで役立つためです。英語力やデータ分析のスキルも、海外子会社のある企業の監査やデータを使った監査で求められます。

USCPA(米国公認会計士)は、トーマツやEY新日本の会計監査職で応募できる資格です。ただし、トーマツの会計監査職では、USCPAの場合に経理の実務経験や、簿記2級と高い英語力などの条件が加わります。USCPAは日本の監査報告書に署名する立場にはなれないため、英文の監査や外資系企業の監査、アドバイザリーで経験を広げる人が多い資格です。

選考の流れは、書類選考、適性検査、2〜3回程度の面接が一般的です。

監査法人の転職で20代・30代・40代に求められる経験

年代が上がるほど、監査チームの中でどんな役割を担ってきたかが問われます。年代別の採用実績を示す公的なデータはないため、各監査法人の求人要件をもとに目安をまとめました。

  • 20代
    • 試験合格者やUSCPAとして、監査の実務経験が浅くても応募しやすい年代です。資格のない人も、ITや経理の経験があれば専門職や監査トレーニーに応募できます
  • 30代
    • 監査チームの現場責任者である主査(インチャージ)の経験が評価されます。EY新日本の監査職では、マネージャーの応募条件に「主査経験3年以上」が含まれています
  • 40代
    • マネジメントの経験や、IPO・内部統制・特定業界などの専門分野が問われます。資格のない人は、事業会社や金融機関での管理職経験を活かせるアドバイザリーが候補です

監査法人に転職しやすい時期と避けたい時期

監査法人がもっとも忙しいのは、3月決算の会社の期末監査が集中する4〜5月です。東京証券取引所の集計では、2026年3月期の決算発表を行った2,147社の平均所要日数は41.3日で、5月14日だけで473社が発表しました。

この時期は監査の現場も面接官も忙しく、入社直後に繁忙期が重なると、研修や引き継ぎに時間を取りにくくなります。応募は期末監査が落ち着く6月以降、入社は夏から秋にかけてを目安に計画すると、選考と引き継ぎを進めやすいでしょう。大手監査法人は通年で中途採用を行っているため、求人自体は時期を問わず見つかります。

※ 出典:東京証券取引所「2026年3月期決算発表状況の集計結果について」(2026年6月4日)

資格なし・未経験から監査法人へ転職する方法

資格のない人が監査法人に入るなら、前職の経験を直接活かせる部門から選ぶと、応募できる求人が見つかりやすくなります。

監査法人のアドバイザリー部門で評価される前職の経験

アドバイザリー部門は、資格よりも実務の経験を重視する求人が多い部門です。BIG4の公式求人では、次のような経験が応募条件に挙がっていました。

  • 事業会社の経営企画・経理財務(特に連結決算)の経験5年以上(トーマツの会計財務報告アドバイザリー)
  • 上場企業での経理・開示・連結の経験、証券会社や取引所での上場審査の経験(あずさの上場準備の支援)
  • 事業会社のCSR・IR部門や金融機関でのサステナビリティ関連の経験(各社のサステナビリティ部門)

上場企業の経理で決算や開示を担当してきた人は、上場を目指す会社を支援する立場でその経験を活かせます。

経理の担当範囲ごとに評価される経験は、経理部への転職は難しい?未経験・経験者別に狙える企業と進め方で紹介しています。

IT・SEの経験を活かして監査法人のIT監査部門に入る方法

IT監査部門は、公認会計士の資格がなくても応募しやすい部門です。

トーマツのシステム監査・システムリスクの求人では、公認会計士資格の取得は不要と明記されています。

求められるのは、ITの実務経験です。事業会社や金融機関のシステム部門、SIerでのシステムの企画・開発、セキュリティや内部統制の管理、PMOなどの経験が応募条件に挙がっていました。EY新日本のTechnology Riskでは、IT監査やシステム開発などの経験1年以上が条件です。システム監査技術者やCISA(公認情報システム監査人)の資格は、必須ではないものの評価につながります。

監査アシスタントとして監査法人で働く場合の仕事内容

監査アシスタントは、監査チームの事務作業を引き受け、会計士が判断の必要な仕事に集中できるようにする職種です。審査会は、監査アシスタントの仕事として、残高確認状の発送と受け取り、各種報告書類の準備、データの整理などを挙げています。残高確認状とは、取引先や銀行に売掛金や預金の残高を問い合わせる書類です。

応募条件は、事務の実務経験とExcelなどのPCスキルが中心です。トーマツの会計監査アシスタントは営業事務・経理などの経験1年以上、EY新日本の監査アシスタントはExcel・Word・PowerPointの実務経験を条件にしています。トーマツの会計監査アシスタントは有期契約ですが、条件を満たせば正社員に転換し、会計監査部門などへ異動できると案内しています。

監査法人で働きながら公認会計士を目指せる支援制度

入社してから公認会計士を目指せる職種もあります。EY新日本の「監査トレーニー」は、4年制大学卒以上で簿記2級程度の会計知識がある人が対象の正社員の職種です。合格までは原則として残業がなく、予備校の学費の6割を法人が補助します。

支援の内容は監査法人ごとに異なり、制度を設けていない法人もあります。資格の取得を目指すなら、受験期間中の勤務時間と費用の補助を面接で確認しておきましょう。

BIG4・準大手・中小監査法人の違いと選び方

監査法人は、規模によって監査する会社も、働く人の構成も大きく異なります。積みたい経験と働き方から選ぶのが基本です。

規模と担当する会社で見るBIG4・準大手・中小の違い

公認会計士・監査審査会は、上場国内会社をおおむね100社以上監査し、常勤の監査実施者が1,000名以上いる監査法人を「大手監査法人」と定めています。トーマツ、あずさ、EY新日本、PwC Japanの4法人で、BIG4と呼ばれます。準大手は仰星・三優・太陽・東陽の4法人で、それ以外が中小規模の監査事務所です。

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区分監査する上場国内会社職員の非常勤の割合向いている人
大手(BIG4)2,177社(56.6%)約2%大企業・海外子会社のある会社の監査やアドバイザリーの経験を積みたい人
準大手610社(15.9%)21%上場企業の監査を、大手より少ない人数のチームで幅広く担当したい人
中小規模1,056社(27.5%)60%新興企業やIPO準備会社の監査に早くから中心的に関わりたい人、兼業したい人

※ 出典:公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」(上場国内会社は令和8年3月末、非常勤の割合は準大手が令和7年度・中小監査法人が令和6年度の値)

公認会計士の登録者37,715人のうち、監査法人に所属する人は14,915人で、そのうち10,507人が大手監査法人に所属しています(令和8年3月末)。監査法人で働く会計士の7割が大手に集まっている計算です。

BIG4(トーマツ・あずさ・EY新日本・PwC Japan)の規模と中途採用

BIG4の人員は、各法人の公表によると次のとおりです。

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法人人員公認会計士試験合格者等会計士・合格者以外
有限責任監査法人トーマツ6,354名2,811名1,265名約36%
有限責任あずさ監査法人7,190名3,004名1,483名約38%
EY新日本有限責任監査法人6,845名3,073名1,522名約33%
PwC Japan有限責任監査法人3,778名1,236名762名約47%

※ 出典:各法人の「監査品質に関する報告書」・法人概要。トーマツは2026年5月末、ほかは2026年6月末時点。人員の区分は法人ごとに異なるため、法人間の単純な比較はできません。割合は人員合計から算出

どの法人も、人員の3〜5割を会計士・試験合格者以外の人が占めています。BIG4の中途採用で差が大きいのは、法人よりも部門です。同じ法人でも監査とアドバイザリー、IT監査で求める経験がまったく異なるため、応募する部門を先に決めてから各法人の求人を比べると選びやすくなります。

なお、PwC Japan有限責任監査法人は、2023年12月にPwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人が統合して発足した法人です。

中小監査法人で非常勤や兼業の会計士が多いのはなぜ?

中小監査法人では、職員の60%が非常勤です(令和6年度)。常勤の職員が4人以下の法人に限ると、非常勤の割合は約9割に上ります。

職員に占める非常勤の割合

監査法人の規模別

大手監査法人
約2%
準大手監査法人
21%
中小監査法人
60%

出典:公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」。準大手は令和7年度、中小監査法人は令和6年度

非常勤が多い一因は、会計事務所や税理士事務所を開いて独立した会計士などが、本業と並行して監査に加わる働き方にあると考えられます。監査は決算期に作業が集中するため、繁忙期だけ人手を増やせる非常勤の仕組みは、小さな法人にとって欠かせません。

中小監査法人に常勤で入ると、少人数のチームで監査計画から監査意見までひと通り担当できる一方、相談できる常勤の会計士が少ないこともあります。常勤と非常勤の人数は、面接で確認しておきたい点です。

規模によって変わる監査法人の年収の目安

厚生労働省のjob tagによると、公認会計士の年収は810.8万円、平均年齢は42.2歳でした。監査法人以外で働く会計士も含む数値です。

大手監査法人の役職別の年収は、転職エージェントのムービンによると、スタッフ550万円〜、シニア700万円〜、マネジャー950万円〜、シニアマネジャー1,100万円〜が目安とされています。中小監査法人は法人ごとの差が大きく、非常勤の場合は日給や時給で契約するのが一般的です。年収は職位と担当業務で決まるため、提示額は複数の求人で比べましょう。

※ 出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「公認会計士」(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)、ムービン「監査法人への転職」(転職支援実績・公開求人などの集計で、監査とアドバイザリーを含む)

会計事務所・税理士法人・受験生から監査法人へ転職するには?

会計事務所や税理士法人での経験、公認会計士試験の勉強は、監査法人で活かせる場面があります。ただし、入り口になる職種は立場によって違います。

会計事務所・税理士法人での経験が監査法人で評価される点

会計事務所や税理士法人で決算書や税務申告書を作ってきた経験は、監査で決算書を確かめるときの土台になります。とくに中小企業の会計処理に詳しい人は、新興企業や中小規模の上場会社を監査する中小監査法人で重宝されます。

一方で、監査は「作る」側ではなく「確かめる」側の仕事です。決算書が会計基準に沿っているかを、証拠を集めて判断する考え方は、入社後に身につける必要があります。公認会計士の資格がない場合は、監査アシスタントやアドバイザリーの職種から入るのが現実的です。

短答式試験の合格者や論文式の受験生が監査補助として働く方法

公認会計士試験の短答式試験に合格した人を対象にした職種もあります。トーマツの「ジュニアスタッフ採用」は、令和9年の短答式試験の免除資格がある人が対象で、有期契約のフルタイムで監査業務に就く職種です。選考は書類、AI適性検査、面接1回で行われます。

論文式試験の前から監査の現場を経験できるため、合格後の定期採用につなげやすいのが利点です。募集の有無や条件は年度ごとに変わるため、最新の募集は各法人の採用ページに載っています。

税理士・科目合格者が監査法人グループの税務部門を目指す場合

BIG4の税務の仕事は、監査法人本体ではなく、同じグループの税理士法人が担っています。税理士や税理士試験の科目合格者が税務の経験を活かしたいなら、応募先は監査法人ではなくグループの税理士法人になります。

監査法人本体で働きたい場合は、会計財務報告などのアドバイザリー部門で、税務の知識を持つ人材として応募する方法があります。

税理士試験の科目合格の評価は税理士の科目合格で転職できる?、税理士資格を活かした転職は税理士向け転職エージェントの比較で紹介しています。

監査法人の求人票と面接で確認したいポイント

監査法人の転職で多いミスマッチは、配属される部門や担当する会社、チームの体制が想像と違うことです。求人票と面接で確認しておきましょう。

監査法人の求人票で確認したい部門・担当業種・担当社数

求人票では、次の項目を確認します。書かれていない項目は、面接で質問しましょう。

  • 配属される部門と、監査かアドバイザリーかの区分
  • 担当する会社の業種と規模(上場会社か、IPO準備会社か)
  • 1人が受け持つ会社の数
  • 常勤か非常勤か、契約期間の有無
  • 入社後の研修と、資格取得の支援

監査法人の面接で聞きたい質問と注意したい回答

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聞きたい質問安心できる回答注意したい回答
4〜5月の繁忙期の残業はどのくらいですか月と時間の目安を答えられる「その時による」だけで数字が出てこない
入社後はどの業務から任されますか主査の下で一部の手続きから担当し、段階的に広げる入社直後から1人で複数社を担当する
チームの人数と、常勤・非常勤の割合は常勤の会計士がいて、調書を確認する体制がある非常勤が中心で、相談できる相手が決まっていない
研修や監査マニュアルはありますか監査調書の様式や研修の仕組みがそろっている「現場で覚えて」だけで仕組みがない

監査調書とは、監査で行った手続きと、その結果をまとめた記録です。調書を確認する人がいるかどうかは、監査の質とともに、入社後に育ててもらえるかを判断する材料になります。

中小監査法人の体制を応募前に確かめる方法

中小監査法人に応募するなら、公開されている情報で体制を確かめておくと安心です。

まず、上場会社の監査をしているかどうかは、日本公認会計士協会の「上場会社等監査人名簿」で確認できます。2023年4月から、名簿に登録されていない監査事務所は上場会社の監査ができなくなりました。2026年10月15日時点の登録は128件です。

次に、処分や勧告の有無です。公認会計士・監査審査会のウェブサイトでは検査結果にもとづく勧告が、金融庁のウェブサイトでは監査法人や公認会計士への懲戒処分が公表の対象です。審査会は、中小規模の監査事務所の中に監査を適切に行う体制が十分でないものがあると指摘しており、検査を重視する方針を示しています。応募先の法人名で検索すれば、過去に勧告や処分を受けたかがわかります。

※ 出典:日本公認会計士協会「登録上場会社等監査人情報」、公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」

監査法人への転職を転職エージェントで進めたほうがよい人

BIG4の求人は公式サイトで公開されているため、自分で応募することもできます。ただ、応募する部門を決めかねている人や、中小監査法人の内部の様子を知りたい人は、転職エージェントを使うと進めやすくなります。

監査法人の転職での求人サイトと転職エージェントの使い分け

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比べる点求人サイト・公式サイト転職エージェント
向いている人応募したい法人と部門が決まっている人部門や法人の規模から相談したい人
得られる情報求人票に書かれた条件チームの体制や常勤・非常勤の割合など、求人票にない情報
日程調整自分で行う担当者が代わりに行う
年収・職位の交渉自分で行う担当者が代わりに交渉する

中小監査法人の中には公式サイトに求人を載せていない法人もあり、エージェント経由で見つかる求人もあります。

監査法人の求人に強い転職エージェントの選び方

監査法人の転職でエージェントを選ぶときは、次の3点を確認しましょう。

  • BIG4だけでなく、準大手・中小監査法人の求人も扱っているか
  • 担当者が監査法人の職位や部門の違いを理解しているか
  • 資格のない専門職(IT監査・アドバイザリー)の求人も紹介できるか

会計士向けに特化したエージェントと、管理部門全般に強いエージェントでは、得意な求人が異なります。2〜3社に登録して紹介される求人を比べると、自分に合う応募先を見つけやすくなります。

公認会計士向け転職エージェントを比べる

公認会計士・監査法人の転職に対応したエージェントの特徴や違いは、公認会計士向け転職エージェントの比較にまとめました。各エージェントの評判は、次の記事で紹介しています。

監査法人への転職でよくある質問

監査法人の忙しさ、コンサルの仕事との関係、離職率、英語力、採用の種類について、よく出る疑問に答えます。

監査法人の仕事はきつい?いちばん忙しい時期は?

3月決算の会社の期末監査が集中する4〜5月が、いちばん忙しい時期です。公認会計士・監査審査会が各法人の公表資料から算出した年間平均執務時間は、令和6年度で大手監査法人が2,016時間、準大手監査法人が1,640時間でした。大手は2,000時間前後で推移しながら、近年は少しずつ減っています。2024年4月に四半期報告書が廃止され、第1・第3四半期の決算短信に対する監査人のレビューは原則として任意になりました。四半期ごとの作業の負担は、会社によって変わっています。

監査法人ではコンサルの仕事ができない?

監査法人でもアドバイザリーの仕事はできます。制限されているのは、監査している大会社等に対して、財務書類の作成などの一定の業務を同時に提供することです(公認会計士法第34条の11の2)。監査の独立性を守るための決まりで、監査をしていない会社への支援は対象外です。

BIG4監査法人の離職率は高い?

離職率を公表している法人は限られます。PwC Japan有限責任監査法人の退職率は、2025年度(2024年7月〜2025年6月)で7.9%でした。公認会計士・監査審査会は、大手監査法人がキャリアパスの柔軟化や給与水準の引上げなどに取り組んだ結果、マネージャー層とスタッフ層の離職率が下がる傾向にあると報告しています。

監査法人の転職で英語力はどの程度必要?

必要な英語力は、部門と担当する会社しだいです。PwC Japanは、入社時点で英語力は必須ではないと案内しています。一方、EY新日本のサステナビリティ部門(CCaSS)の求人では、TOEIC730点程度が目安です。海外子会社のある企業の監査や英文の監査を担当したい人は、英語力がそのまま評価につながります。

監査法人の中途採用と新卒採用(定期採用)の違いは?

定期採用は、論文式試験の合格者を毎年まとめて採用する仕組みです。中途採用は、部門ごとに必要な経験を持つ人を通年で採用します。あずさ監査法人の2026年6月期は、定期採用が282名、中途採用が186名でした。中途採用の大半は、会計士以外のプロフェッショナルです。

監査法人への転職で次にやること

監査法人への転職は、資格の有無と前職の経験で入り口が変わります。自分の立場に合わせて、次の一歩を決めましょう。

  • 公認会計士・試験合格者
    • 会計士の中途採用は準大手・中小監査法人が中心です。大手に戻るなら、カムバック採用などの制度を確かめましょう
  • 資格のない人
    • 大手監査法人の人員の37%は会計士・合格者以外です。IT監査やアドバイザリー、監査アシスタントなど、前職の経験を活かせる部門から選びましょう
  • 会計事務所・受験生
    • 決算書を作った経験は監査の土台になります。短答式試験の合格者向けの職種や、アドバイザリー部門から入る道を検討しましょう
公認会計士向け転職エージェントを比べる

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※本記事の数値は2026年10月16日時点で確認したものです。統計や調査、求人の条件は更新されることがあるため、最新の情報は各出典をご確認ください。

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