40代から税理士業界への転職は、もう遅いのでしょうか。結論からお伝えすると、40代での税理士転職は十分可能です。令和7年度税理士試験では、5科目に到達した527人のうち180人が41歳以上でした(国税庁公表データより)。
登録税理士も60歳以上が半数を超えており(2014年調査時点)、業界の中で40代はむしろ若手側。ただし、資格の有無や実務経験によって、進め方は大きく変わります。40代で税理士業界を目指す方に向けて、公的データに基づく市場の実態と、状況別の進め方をまとめました。
- 40代でも転職できる根拠を数字で確かめられる
- 「厳しい」と言われる4つの理由と対処法がわかる
- 年齢層・求人倍率・年収の実態がわかる
- 自分の状況に合った進め方を選べる
- 4つの転職先から行き先を絞り込める
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。試験データは令和7年度(2025年度)試験、賃金データは令和7年賃金構造基本統計調査に基づいています。
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40代でも税理士業界への転職はできる?
「この歳から会計業界に飛び込んで、本当にやっていけるのか」。
40代の転職検討者が最初にぶつかる不安に、データと数字を根拠に答えていきます。
40代の税理士転職は十分可能
40代からの税理士転職は、現実的に十分可能です。
令和7年度(第75回)税理士試験では、5科目合格に到達した527人のうち180人が41歳以上でした(国税庁「令和7年度税理士試験結果」より)。割合にすると約34%。官報合格者の約3人に1人が、41歳を超えてから税理士試験の合格をつかんだ計算になります。
受験者ベースでも傾向は同じです。41歳以上の受験者は11,632人と、受験者全体36,320人の約32%を占めました。試験会場の3人に1人は41歳以上という状況で、40代の挑戦はまったく珍しくありません。
試験に受かることと、転職先が決まることは別の話です。それでも、40代から始めて合格した人がこれだけいます。「40代では手遅れ」ということはありません。
会計業界の人手不足と職員の高年齢化が追い風に
登録税理士の年齢層を見ると、60歳以上が53.8%と半数を超えています(日税連パンフレット「税理士になろう」掲載の税理士実態調査・2014年時点)。40歳代の割合は17.1%にとどまり、業界の中では40代はむしろ若手側です。
この年齢構成は、40代の転職者にとって追い風になります。世代交代を控えた事務所ほど、実務を任せられる40代・50代を求めているからです。顧問先の経営者と対等に話せる年齢であることも、20代にはない強みになります。
制度面の変化も見逃せません。2023年度(令和5年度)の試験から、簿記論と財務諸表論の受験資格が撤廃されました(国税庁「税理士試験受験資格の概要」より)。誰でも会計2科目から挑戦できる仕組みです。
実際に受験者数は令和6年度の34,757人から令和7年度は36,320人へと約1,600人増加しました。40代から会計業界を目指すことは、もう珍しくありません。
【注意】20代・30代と同じ戦い方では通用しない
ただし、20代のように将来性を見込んで採用してもらう形は通用しません。40代の採用で見られるのは、すぐに実務を任せられるかどうか。任せられない場合は、それを補うだけの経験や資格があるかどうかです。
選考過程で見られているポイントは、以下の3点です。
- 経理・会計に関わる実務経験の有無
- 簿記資格や科目合格など、勉強を続けてきた実績
- マネジメントや折衝など前職で培った強み
この3つのうちどれを持っているかで、狙える求人も選考での進め方も変わります。まずは自分にどのスキルがあるかを整理しましょう。
40代の税理士転職が厳しいと言われる理由
「厳しい」と言われるのには、4つの理由があります。理由ごとに対処の方法があるので、順番に見ていきます。
未経験者はポテンシャル採用の対象になりにくいから
多くの事務所は、未経験者を長く育てて一人前にする前提で採用します。20代なら、育てる時間を長く取れます。一方の40代は、育てた分を働いて返してもらう期間が短いと見られがちです。
そのため、未経験の40代は書類選考で落とされやすくなります。
ただし、これは未経験者をゼロから育てる求人に応募した場合の話です。経理経験や簿記資格など、育てる時間を短くできる要素を示せれば評価は変わります。前職の経験が会計の仕事にどうつながるかを、自分の言葉で説明できるか。ここで採用されるかどうかが決まります。
転職直後は年収が下がるケースがあるから
一般企業で管理職クラスの年収を得ている方ほど、転職直後の年収ダウンは覚悟が必要です。未経験で会計事務所に入る場合、最初は補助的な業務を担当するため、給与もそれに合わせて決まるからです。40代で家計の支出が大きい時期と重なる点も、決断を難しくします。
一方で、会計業界に移ったあとの年収は上がっていきます。雇用されている会計士・税理士の40代の年収推計は、約830万〜1,020万円に達します(令和7年賃金構造基本統計調査より・会計士との合算区分)。一時的に下がる分と、そのあとに上がる分を分けて考えると、判断を誤りません。
実務経験ゼロだと応募できる求人が限られるから
会計事務所の求人には「実務経験2年以上」「税務申告の担当経験必須」といった条件つきのものが多くあります。実務経験ゼロの場合、応募できるのは未経験可の求人だけです。応募できる数は、どうしても少なくなります。
とはいえ、未経験可の求人が存在しないわけではありません。個人事務所や、繁忙期に向けて人を増やす事務所なら、未経験者も受け入れています。求人の数が限られる分、探し方で結果が変わります。
税理士試験と仕事の両立に時間がかかるから
税理士資格の取得を目指す場合、働きながらの長期戦は避けられません。税理士試験は会計2科目と税法3科目の計5科目に合格して、初めて試験合格となります(国税庁「税理士試験の概要」より)。1科目ずつ受験できる科目合格制は、働きながらでも進められる仕組みです。その分、合格までの年数はかかります。
年齢別の合格率も見ておきましょう。令和7年度試験の年齢別データは次のとおりです。
| 年齢区分 | 受験者数 | 合格者数計 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 20歳以下 | 1,742人 | 617人 | 35.4% |
| 21〜25歳 | 6,752人 | 1,987人 | 29.4% |
| 26〜30歳 | 6,420人 | 1,638人 | 25.5% |
| 31〜35歳 | 5,100人 | 1,266人 | 24.8% |
| 36〜40歳 | 4,674人 | 1,000人 | 21.4% |
| 41歳以上 | 11,632人 | 1,339人 | 11.5% |
※ 国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果」より
※ 合格者数計は5科目到達者と一部科目合格者の合計
年齢が上がるほど合格率が下がる傾向は明確で、41歳以上は11.5%でした。仕事や家庭と両立する中での学習時間の確保が、そのまま数字に表れていると考えられます。
つまり、40代の合否を分けるのは、勉強時間を確保できる職場を選べるかどうかです。
データで見る40代の税理士転職市場の実態
思い込みではなく数字で判断するために、年齢層・求人倍率・年収という3つの公的データを押さえておきましょう。
税理士の半数以上は60歳以上=40代はむしろ若手
登録税理士の年齢層分布は次のとおりです(日税連「税理士になろう」掲載・税理士実態調査2014年・回答32,747人)。
| 年齢層 | 割合 | 人数 |
|---|---|---|
| 20歳代 | 0.6% | 187人 |
| 30歳代 | 10.3% | 3,358人 |
| 40歳代 | 17.1% | 5,599人 |
| 50歳代 | 17.8% | 5,817人 |
| 60歳代 | 30.1% | 9,868人 |
| 70歳代 | 13.3% | 4,343人 |
| 80歳代 | 10.4% | 3,421人 |
60歳以上を合計すると53.8%。半数以上がすでに60歳を超えており、40歳代以下は3割弱しかいません。2014年調査時点と古いデータではあります。
それでも、業界が高齢化していることをはっきり示す数字です。最新の調査(2024年実施の第7回税理士実態調査)では、構成が変わっている可能性があります。それでも、10年で高齢化が解消したとは考えにくい状況です。
雇用されている側のデータも見てみます。令和7年賃金構造基本統計調査によると、「公認会計士,税理士」区分(雇用者・企業規模10人以上)の平均年齢は42.2歳でした。勤務する会計士・税理士に限れば、40代前半がもっとも多い年代です。
40代での転職は、年齢的にはむしろ標準です。
なお、税理士登録者数は令和8年7月末時点で82,310人です(日本税理士会連合会公表)。8万人を超える税理士の半分以上が60歳超です。今後、顧問先や仕事を引き継ぐ人を探す事務所は増えていきます。これから参入する40代には、その受け入れ先が広がっていきます。
会計事務所・税理士法人の求人動向と有効求人倍率
労働市場全体では、令和8年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍でした(厚生労働省「一般職業紹介状況」より)。職業別の原数値を見ると、状況は職種によって大きく異なります。
| 職業分類 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 職業計 | 1.01倍 |
| 専門的・技術的職業従事者 | 1.62倍 |
| その他の専門的職業 | 0.63倍 |
| 会計事務従事者 | 0.56倍 |
※ 令和8年6月分・常用(パート含む)・原数値
注目したいのは、会計事務従事者の0.56倍という数字です。求人1件に対して約2人の求職者がいる計算になります。無資格で応募できる経理・会計の仕事は、はっきりと買い手市場です。
「事務職ならどこかに入れるだろう」という考えは、この数字の前では通用しません。
一方、専門的・技術的職業従事者の全体では1.62倍と、売り手市場でした。同じ会計の仕事でも、資格の有無で立場が変わります。競争が激しい会計事務だからこそ、簿記1級や科目合格を持つ応募者は書類の段階で差がつきます。
40代税理士・科目合格者の年収相場
転職後の到達点として、雇用されている会計士・税理士の賃金データを確認します。令和7年賃金構造基本統計調査の「公認会計士,税理士」区分では、月給(きまって支給する現金給与額)と年間賞与から、年収を次のように推計できます。
| 区分 | 月給 | 年間賞与 | 年収推計 |
|---|---|---|---|
| 男女計・全年齢 | 57.1万円 | 125.3万円 | 約811万円 |
| 男性40〜44歳 | 62.1万円 | 163.2万円 | 約909万円 |
| 男性45〜49歳 | 69.4万円 | 188.6万円 | 約1,021万円 |
| 女性40〜44歳 | 59.2万円 | 122.9万円 | 約833万円 |
| 女性45〜49歳 | 61.4万円 | 167.9万円 | 約904万円 |
※ 「公認会計士,税理士」の合算区分で、税理士単独の数値ではない
※ 企業規模10人以上の雇用者が対象で、開業税理士は含まない
※ 年収は「月給×12+年間賞与」による推計値
※ 40代の各階級はサンプルが数百人〜千人規模のため、幅を持って見る必要がある
40代の年収推計は約830万〜1,020万円で、男性45〜49歳では1,000万円を超えました。全年齢の男女計でも約811万円と、高い部類の給与です。資格と経験を積み上げれば、40代からでも十分に届きます。
ただし、未経験からの転職直後に、この金額には届きません。表の数字は、実務経験を積んだ先の目安です。まずは3〜5年で実務を一通り覚えることを、最初の目標にしましょう。
状況別に見る40代の税理士転職の進め方
有資格者・科目合格者・未経験者では、市場での評価も、やるべきこともまったく違います。まず全体を表で押さえてから、それぞれの動き方を見ていきましょう。
| 状況 | 狙える転職先 | 選考で見られる点 | 準備すべきこと |
|---|---|---|---|
| 税理士有資格者 | 税理士法人・コンサル・企業税務 | 担当業務の実績と専門分野 | これまでの実績と得意分野を書き出す |
| 科目合格者 | 会計事務所・税理士法人 | 合格科目数と勉強を続ける力 | 両立できる職場の条件を整理する |
| 未経験・無資格 | 未経験可の事務所・企業経理 | 経理経験または簿記資格 | 簿記2級以上を取り、経理の経験を洗い出す |
税理士資格を持っている人はキャリアアップ転職を狙える
すでに税理士資格を持つ40代は、転職市場でもっとも有利な立場にいます。登録税理士の半数以上が60歳超という業界で、実務をフルに担える中堅の有資格者は、多くの事務所が探し求める人材だからです。
このケースの転職は「できるかどうか」ではなく「どこで何を伸ばすか」の選択になります。相続・資産税、国際税務、事業承継など、専門分野を深められる職場を選べば、40代からの10年でさらに評価を高められます。
年収や役職だけで比較すると、判断を誤りかねません。どんな案件を担当できるか、専門性を高められるか。この2点も比べてから決めましょう。
将来の独立を考えているなら、顧問先との距離が近い中規模の事務所という選択もあります。逆に組織で専門性を極めたいなら、大手税理士法人やコンサルティングファームが候補です。税理士資格がある分、選べる転職先はもっとも多くなります。
科目合格者は勉強と両立できる事務所選びが軸になる
科目合格者の転職で最優先すべきは、残り科目の勉強を続けられる環境です。合格済みの科目は一度受かればずっと有効なので、働きながら1科目ずつ揃えられます。焦って労働条件の悪い事務所に入り、勉強時間を失うことがもっとも避けたい失敗です。
41歳以上の合格率は11.5%と、他の年代より低い水準でした。学習時間を確保できるかどうかが合否を左右すると考えて、職場選びの条件に落とし込みましょう。面接で確認したいのは次のような点です。
- 繁忙期の残業時間の実態
- 試験前休暇や時短勤務など試験支援制度の有無
- 科目合格者の在籍実績と直近の合格実績
科目合格は選考でも高く評価されます。40代でも、合格科目は勉強を続けられることと本気度の証明になるからです。応募書類には合格科目と受験予定の科目を書き、いつ資格を取るつもりかを採用側に伝えておきましょう。
未経験・無資格の人は経理経験を活かすor簿記資格を取得
未経験・無資格の40代がまずやるべきことは、これまでの経験が会計の仕事のどこにつながるかを探すこと。事業会社での経理・財務の経験があれば、それだけで会計事務所に応募できます。仕訳の作成、月次決算、税理士とのやり取りといった経験は、応募書類で具体的に示しましょう。
たとえば、42歳で事業会社の経理を15年担当してきた方なら、「月次決算の締めと顧問税理士への資料提出を10年以上担当してきました」と書けます。事務所側から見れば、教える手間が大きく減る人材です。同じ未経験でも、中身は人によってまったく違います。
経理経験がない場合は、簿記資格の取得から始めましょう。日商簿記2級があれば、未経験可求人での評価は目に見えて変わります。
あわせて知っておきたいのが、受験資格の制度です。2023年度から、簿記論・財務諸表論は誰でも受験できるようになりました。税法科目には受験資格が必要です。
ただし、日商簿記1級の合格でも、会計に関する事務への2年以上の従事でも要件を満たせます(国税庁「税理士試験受験資格の概要」より)。
つまり、未経験可の事務所に入って2年働けば、実務経験と税法科目の受験資格を同時に手にできるということです。
40代の税理士転職で選べる主な転職先
転職先は大きく4つに分かれます。未経験でも入れるかどうかと、働き方の傾向を先に比べておきましょう。
| 転職先 | 未経験でも入れるか | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 個人会計事務所 | 入りやすい | 幅広い業務を少人数で担当 | 実務を一通り経験したい人 |
| 税理士法人 | 経験・資格重視 | 教育体制と待遇が充実 | 資格取得と両立したい人 |
| 一般企業の経理・税務部門 | 経理経験があれば可 | 安定した働き方 | 事業会社に軸足を置きたい人 |
| コンサルティングファーム | 原則経験者 | 高年収・難しい案件が中心 | 専門性で勝負したい人 |
個人会計事務所は未経験でも入れる
未経験・無資格の40代にとって、もっとも入りやすいのが個人会計事務所です。少人数の事務所では、記帳代行から巡回監査の補助、確定申告の応援まで、幅広い仕事に早い段階から関われます。実務経験を短期間で積みたい人におすすめの環境です。
注意点は、事務所ごとの差が大きいこと。所長の方針次第で、教育体制も残業時間も給与も大きく変わります。応募前に職員数や1人あたりの担当件数の目安を確認し、面接ではどこまでの仕事を任されるかを具体的に聞いておきましょう。
「何でもやってもらう」という説明しか返ってこない事務所は、入ってから話が違うとなりがちです。担当する顧問先の件数と、教育担当がつくかどうかは必ず聞いておきましょう。
税理士法人は待遇と教育体制が充実
税理士法人は、組織的な運営と教育体制が魅力の転職先です。全国の税理士法人は5,319法人(主たる事務所・令和8年7月末時点、日税連公表)あり、数名規模から数百名規模まで幅があります。
複数の税理士が在籍する組織のため、研修制度や試験休暇など、資格取得を支援する仕組みが整っている法人が少なくありません。科目合格者が残り科目を目指しながら働く場として、おすすめです。個人事務所より人数に余裕がある分、仕事の進め方が決まっており、担当する分野を深めやすい面もあります。
その分、採用で求められる条件は厳しくなります。実務経験や合格科目数が問われる求人が中心で、完全未経験での入所は簡単ではありません。まず個人事務所で経験を積み、科目を揃えてから税理士法人へ移る。この順番で進むのも、40代にはおすすめです。
一般企業の経理・税務部門
転職先は会計事務所だけではありません。事業会社の経理・税務部門も、簿記や科目合格の知識を活かせる転職先です。会計事務所ほど繁忙期の負担が大きくないので、働き方の安定を重視する人におすすめです。
ただし、会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍と、競争の激しい領域でした。無資格・未経験での応募は厳しい戦いになります。経理実務の経験者が科目合格を強みに、税務の職種へ応募する。この形がおすすめです。
この組み合わせなら、40代でも十分に採用されます。事務所勤務と迷う場合は、将来やりたいことで選びましょう。税理士登録して顧問業務を担いたいなら事務所、企業内で税務の専門家として働きたいなら事業会社です。
コンサルティングファームは高年収だが経験者向け
税務コンサルティングファームは、4つの中でもっとも高い年収が期待できる転職先です。事業承継、組織再編、国際税務といった難しい案件を扱うため、報酬もそれに見合った額になります。40代の年収推計(約830万〜1,020万円)を上回るオファーも、この領域では珍しくありません。
その代わり、求められるのはすぐに動ける力だけです。税理士資格に加えて、法人税務や資産税の実務経験を求める求人が中心です。未経験者が応募できる求人はほぼありません。有資格者でさらに年収と専門性を上げたいときに考えましょう。
40代の税理士転職を成功させる5つのポイント
同じ経歴でも、準備の質で選考結果は変わります。40代だからこそ効く5つのポイントを順に紹介します。
これまでの社会人経験を強みとして言葉にする
40代でもっとも評価されるのは、20年前後の社会人経験です。営業で培った折衝力、管理職としてのマネジメント経験、特定業界の商習慣への理解。税理士の仕事は顧問先とのやり取りが中心なので、どれもそのまま役に立ちます。
ポイントは、抽象的な自己PRで終わらせないことです。「コミュニケーション能力があります」では何も伝わりません。「製造業の営業を15年経験しました。顧問先の商流や原価の話は初日から理解できます」のように、会計の仕事とのつながりまで書くと、採用側に伝わります。
職務経歴書を書く前に、自分の経験が「顧問先とのやり取りにどう役立つか」を書き出してみてください。
年収がどこまで下がっても大丈夫かを先に決めておく
未経験の転職では、一時的に年収が下がる点でいちばん迷います。だからこそ、応募を始める前に「いくらまでなら下げられるか」を家計の収支から決めておきましょう。住宅ローンや教育費を書き出し、最低いくら必要かを数字にしておくと、求人ごとに迷わずに済みます。
そのうえで、会計業界に移ったあとの年収も思い出してください。雇用されている会計士・税理士の40代の年収推計は約830万〜1,020万円でした。年収が下がる期間を将来のための準備期間と考えられるかどうかで、選べる求人は大きく変わります。
配偶者がいる場合は、この試算と見通しを事前に共有しておくことも欠かせません。
繁忙期や残業など働き方の実態を面接で確認する
会計業界には、確定申告期や3月決算の申告期という明確な繁忙期があります。40代は家庭や資格勉強との両立を迫られる年代です。働き方について確認することを、遠慮する必要はありません。
面接で確認したいのは、繁忙期の平均残業時間、担当件数の目安、在宅勤務ができるかどうかです。「聞いたら印象が悪くなるのでは」と心配になるかもしれません。しかし、長く働ける人材を探している事務所ほど、こうした質問を誠実に受け止めます。
回答を濁す事務所は、入ってからも働き方の話が通じない可能性があります。その答え方自体を、判断の手がかりにしましょう。
科目合格・簿記など勉強の実績を示して意欲を伝える
40代の応募で採用側が気にするのは「本気でこの業界に来る気があるのか」という一点です。その疑いを消すもっとも確実な方法が、勉強の実績を見せることです。
簿記2級でも、簿記論の受験申込でも構いません。「いつか税理士を目指したいです」ではなく、「簿記2級を取得済みで、来年8月の簿記論受験に向けて学習中です」と、事実と計画をセットで示しましょう。簿記論・財務諸表論は受験資格が不要になったため、まだ受けていない方でも「いつ受けるか」を書けます。
熱意を言葉で並べるより、資格や受験予定を1行書くほうが早く伝わります。
会計業界に強い転職エージェントを活用する
未経験可の求人や、科目合格者を歓迎する事務所の求人は、市場に出回る数が限られています。この少ない求人へ早くたどり着く方法が、会計業界に特化した転職エージェントの活用です。
会計業界に特化したエージェントは、事務所ごとの実際の残業時間や、試験勉強への理解があるかどうかなど、求人票に載らない情報を持っています。40代の転職事例を踏まえた書類添削や年収交渉も任せられるところ。一人で応募するより、書類が通りやすくなります。
最初は気軽に始めて構いません。まず1〜2社に登録し、自分の経歴でどんな求人を紹介されるかを確かめてみてください。紹介される求人の質と量が、いまの自分の評価を知る目安になります。税理士向け転職エージェントの比較は、別記事で詳しく解説しています。
40代からの税理士転職でよくある質問
最後に、細かい疑問へ短く回答します。
40歳から税理士を目指して間に合いますか?
間に合います。令和7年度税理士試験では、5科目到達者527人のうち180人が41歳以上でした。約3人に1人が、41歳を超えてからの官報合格です。働きながら1科目ずつ積み上げる長期戦にはなります。それでも、年齢による受験の制限はありません。
40代未経験でも会計事務所に転職できますか?
可能です。ただし応募できる求人は限られます。簿記2級以上の取得や、経理経験を言葉にして示すことなど、教える手間を減らせる材料をそろえておきましょう。未経験可の求人が比較的多い個人会計事務所に入り、実務経験を積む進め方がおすすめです。
40代から税理士になると年収はどのくらいですか?
雇用されている会計士・税理士の40代の年収推計は、約830万〜1,020万円です(令和7年賃金構造基本統計調査・会計士との合算区分・月給×12+賞与による推計)。ただし未経験からの転職直後は、補助的な業務を担当する給与から始まります。この金額は経験を積んだ先の目安と考えてください。
税理士の転職は何歳までにすべきですか?
法律上の年齢制限はありません。登録税理士の半数以上は60歳超(2014年調査時点)で、70代・80代の現役も珍しくない業界です。採用側が見るのは年齢そのものより、実務経験と勉強の実績。動くと決めたときが、準備を始めるタイミングです。
科目合格なしでも応募できる求人はありますか?
あります。未経験可・無資格可の求人は、個人会計事務所を中心にあります。簿記論・財務諸表論は2023年度から受験資格が不要になったため、応募と並行して受験準備を始めることも可能です。会計業界特化のエージェントに、無資格で応募できる求人を絞り込んでもらうと探す手間が省けます。


