40代の税理士転職は厳しい?未経験・科目合格・有資格者別の現実と成功のコツ

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40代からでも税理士の転職はできる?

40代から税理士業界に移るのは、もう遅いのでしょうか。令和7年度の税理士試験で、41歳以上の合格率は11.5%でした。21〜25歳の29.4%の半分以下で、全年齢で最も低い数字です。この合格率で5科目をそろえるには年数がかかり、資格を取る頃には50代になっています。「遅い」と言われる理由はここにあります。

ところが、同じ試験で5科目に到達した527人のうち180人、34%は41歳以上でした。41歳以上は受験者の32%なので、年齢そのものが到達を妨げているわけではありません。時間がかかるだけです。

40代で税理士業界に転職できるかどうかは、年齢ではなく、いま何を持っているかで決まります。税理士資格があれば転職先は選べます。科目合格があれば勉強を続けられる職場を選ぶ問題です。未経験なら会計事務所には入れますが、税理士になれるのは40代後半で、入所時の年収は会計事務員の水準になります。それでも70代まで働ける業界なので、登録後に20年以上あります。答えるべき問いは「40代で間に合うか」ではなく「何歳で税理士になり、そこから何年働くつもりか」です。国税庁・厚生労働省のデータで、状況ごとに確かめます。

この記事を読むとわかること
  • 年齢が合格をどこまで左右するか
  • 40歳未経験なら何歳で税理士になれるか
  • 「厳しい」と言われる4つの理由の真偽
  • 入所時と資格取得後の年収
  • 資格・経験の状況別の進め方
  • 応募前に決めておくこと

本記事の数値は2026年9月時点で公表されている資料に基づきます。試験データは令和7年度試験、賃金データは令和7年賃金構造基本統計調査、給与所得者の平均給与は令和6年分民間給与実態統計調査です。年収は「月給×12+年間賞与」で算出しています。

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目次

40代の税理士転職は、年齢ではなく「いま何を持っているか」で決まる

まず、年齢が税理士の転職市場でどこまで影響するのかを、国税庁の試験結果をもとに確かめてみました。

41歳以上は受験者の32%、5科目到達者の34%

令和7年度の税理士試験を年齢別に見ると、41歳以上の受験者は11,632人で、全体36,320人の32.0%を占める最大の層でした。合格率は11.5%と最も低く、21〜25歳の29.4%とは17.9ポイントの差があります。

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年齢区分受験者数一部科目合格者5科目到達者合格率
20歳以下1,742人617人0人35.4%
21〜25歳6,752人1,921人66人29.4%
26〜30歳6,420人1,525人113人25.5%
31〜35歳5,100人1,175人91人24.8%
36〜40歳4,674人923人77人21.4%
41歳以上11,632人1,159人180人11.5%
出典: 国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果表」

※ 合格率は(一部科目合格者+5科目到達者)÷受験者数

合格率だけを見れば、40代からでは受からない試験に見えます。ところが5科目に到達した527人のうち、41歳以上は180人で34.2%を占めていました。受験者に占める割合が32.0%なので、到達者の中での比率はむしろ高くなっています。

合格率が最低の層が、到達者では最多です。この2つの数字は矛盾していません。41歳以上は一部科目合格者7,320人のうち1,159人、15.8%しかいない一方で、5科目到達者では34.2%を占めています。つまり41歳以上の受験者には、残り1〜2科目まで来た人が多く含まれています。180人の多くは、20代や30代から科目を積み上げてきた人です。

年齢は合格を妨げていません。妨げているのは、40代で減る勉強時間です。

学歴別の合格率がそれを示しています。令和7年度は大学卒が20.8%、大学在学中が31.9%でした。学歴が高いほど受かるのではなく、勉強に専念できる人が受かっています。40代の11.5%も、同じ理由で読めます。

40歳の未経験者が税理士になれるのは46歳前後

「40代でも間に合う」の中身を、年数で書き出しました。税理士になるには5科目の合格に加えて、2年以上の実務経験が登録に必要です。税法科目の受験には受験資格も要ります。40歳で未経験から始めた場合、すべてを1回で通ったとして次のようになります。

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年齢することその時点の状態
40歳日商簿記2級を取り、未経験可の会計事務所に応募会計事務員として入所。年収の目安は432万〜466万円
41〜42歳簿記論・財務諸表論を受験(受験資格は不要)働きながら会計2科目
42歳実務2年で税法科目の受験資格と、登録に必要な実務経験を満たす税法1科目目に着手
43〜45歳税法3科目を1年1科目で受験41歳以上の合格率は11.5%。落とすと1年延びる
46歳前後5科目到達、税理士登録税理士の40代後半の年収は963万〜1,079万円

※ 受験資格・登録要件は国税庁「税理士試験受験資格の概要」、日本税理士会連合会「税理士登録」による。年収は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」から算出(後述)

大学で法律学・経済学・社会科学に属する科目を履修していれば、税法科目の受験資格は最初からあります。その場合は入所と同時に税法を受け始められ、最短で2年縮まります。それでも登録には実務2年が要るので、税理士になるのは40代半ばです。

46歳で登録して、そこから何年働けるのか。日本税理士会連合会の第6回税理士実態調査では、70歳代が13.3%、80歳代が10.4%で、合わせて23.7%が70歳以上で現役でした。調査時点は平成26年1月1日で古い数字ですが、70歳を過ぎても働き続けている人が4人に1人近くいる職業です。46歳で登録すれば、70歳まで24年あります。

「40代のうちに税理士になれるか」で考えると、未経験者にはほぼ無理です。「46歳で税理士になり、そこから20年以上働く」で考えると、現実的な計画になります。

有資格者・科目合格者・未経験者で答えが違う

この年数を踏まえると、「40代でも転職できるか」の答えは3つになります。

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状況転職できるか年収を決めるもの先に決めること
税理士有資格者できる。転職先を選べる事務所の規模(40代前半で約200万円の差)規模を上げるか、独立に近い環境を選ぶか
科目合格者できる。ただし職場次第で残りの科目が止まる合格科目数と、登録できる年齢週の勉強時間を確保できる職場の条件
未経験・無資格個人事務所には入れる。税理士になるのは46歳前後入所時は会計事務員の水準(432万〜466万円)下がる年収と、20年以上働く前提を受け入れるか

有資格者と科目合格者にとって、40代は不利な年齢ではありません。未経験者にとっても入れないわけではなく、税理士になる年齢と、その前の数年間の年収を引き受けるかどうかの問題です。ただ、「厳しい」と言われる理由は年齢だけではありません。

40代の税理士転職が厳しいと言われる4つの理由

「厳しい」と言われる理由は、未経験者への採用の姿勢、転職直後の年収、応募できる求人の数、試験との両立の4つです。根拠の強さは同じではありません。

未経験の40代は、育てる前提の採用の対象になりにくい

多くの事務所は、未経験者を数年かけて育てる前提で採用します。20代なら育てた分を長く働いて返してもらえますが、40代はその期間が短いと見られます。未経験の40代が書類で落とされやすいと言われるのは、この理由からです。

ただし、これは育てる時間を長く取る求人に応募した場合の話です。経理経験や簿記資格など、育てる時間を短くできる材料があれば評価は変わります。前職の経験が会計の仕事にどうつながるかを説明できるかどうかで、採用の可否が決まります。

転職直後は年収が下がる

未経験で会計事務所に入る場合、最初は補助的な業務を担当し、給与もそれに合わせて決まります。前職で管理職の年収を得ていた人ほど、下がる幅は大きくなります。住宅ローンや教育費が重い時期と重なる点が、判断を難しくします。

「税理士の平均年収は800万円台」という数字を見て入ると、この落差で驚くことになります。入所時の年収と税理士になったあとの年収は、別の職種の数字です。

実務経験がないと応募できる求人が限られる

会計事務所の求人には「実務経験2年以上」「税務申告の担当経験必須」といった条件つきのものが多くあります。実務経験がない場合、応募できるのは未経験可の求人だけです。

未経験可の求人がないわけではありません。個人事務所や、繁忙期に向けて人を増やす事務所は未経験者を受け入れています。数が限られる分、探し方で結果が変わります。

試験と仕事の両立に時間がかかる

税理士試験は会計2科目と税法3科目の科目合格制で、年に1回です。1科目ずつ受けられる仕組みは働きながらでも進められる反面、1科目落とすと1年延びます。41歳以上の合格率11.5%は、この両立の難しさが数字に出たものです。

4つの理由は、どれも聞いたことのある話です。ただ、公表データと突き合わせると、根拠のあるものと、数字の読み違えから来ているものに分かれました。

4つの理由をデータで検証する

検証に使うのは、厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年6月分)と令和7年賃金構造基本統計調査、国税庁の税理士試験結果表です。

採用と求人:未経験者が最初に応募するのは会計事務の求人で、倍率は0.56倍

「資格職なら売り手市場」という話がありますが、ハローワークの数字はそうなっていません。令和8年6月の職業別有効求人倍率は次のとおりでした。

職業分類有効求人倍率
職業計1.01倍
専門的・技術的職業従事者(計)1.62倍
うち、その他の専門的職業0.63倍
会計事務従事者0.56倍
出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」参考統計表6(常用・パート含む・原数値)

専門的・技術的職業の1.62倍は、建築技術者の4.96倍や看護師の1.86倍を含んだ数字です。厚生労働省の職業分類で税理士・公認会計士が入るのは「その他の専門的職業」で、こちらは0.63倍。会計事務従事者は0.56倍でした。求人1件に対して求職者が1.6〜1.8人いる状態で、資格職も事務職も買い手市場です。

未経験の40代が最初に応募するのは、税理士の求人ではなく会計事務の求人です。その倍率が0.56倍なので、「応募できる求人が限られる」「書類で落とされやすい」という2つの理由には根拠があります。

ただし、ハローワークの数字は会計事務所の採用の一部です。会計業界の採用は転職エージェント経由が多く、未経験可の求人や科目合格者向けの求人はハローワークに出ないものが少なくありません。倍率の低さは「求人が少ない」ではなく「ハローワークで待っていても来ない」と読むのが正確です。

年収:入所時は会計事務員の432万〜466万円、税理士になれば40代前半で797万〜1,001万円

「40代の税理士の年収は800万〜1,000万円」という数字は、令和7年賃金構造基本統計調査の「公認会計士,税理士」区分から出ています。未経験で入所した40代には、この区分の給与は当てはまりません。最初は「会計事務従事者」として働くからです。両方の区分を40代で比べました。

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区分(40〜44歳)年収換算労働者数
会計事務従事者・経験0年約432万円3,560人
会計事務従事者・経験1〜4年約466万円10,370人
会計事務従事者・企業規模計約540万円51,950人
公認会計士,税理士・10〜99人約797万円1,830人
公認会計士,税理士・100〜999人約968万円910人
公認会計士,税理士・1,000人以上約1,001万円930人
出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第5表・第10表(男女計)

※ 経験年数別は所定内給与額×12+年間賞与、規模別はきまって支給する現金給与額×12+年間賞与

入所時の目安は、会計事務員の経験0〜4年で432万〜466万円です。国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査による40〜44歳の平均給与は516万円なので、平均的な会社員から移った場合の下げ幅は50万〜80万円ほど。管理職の年収からなら、下げ幅はもっと大きくなります。

税理士になったあとの40代前半は、10〜99人の事務所で797万円、1,000人以上で1,001万円でした。入所時から見れば330万〜570万円の上乗せです。

「年収が下がる」も「上がる」も本当で、下がるのは入所時の職種、上がるのは資格を取ったあとの職種の話です。

この数字には断りがあります。「公認会計士,税理士」は税理士単独の区分ではなく、企業規模10人以上の雇用者だけが対象で、開業税理士は入っていません。40代の各区分は調査が捉えた人数が900〜1,800人と少なく、年によって上下します。それでも、入所時の職種と資格取得後の職種で400万円前後の差がある構図は変わりません。

試験:合格率11.5%は年齢ではなく勉強時間の数字

41歳以上の合格率11.5%は事実です。ただ、同じ年齢層が5科目到達者の34.2%を占めている以上、「40代からでは受からない」とは読めません。受験者の3割が41歳以上で、その多くが最後の1〜2科目を残した人です。時間はかかるが到達している、というのがデータの示す形です。

合格率を動かしているのは勉強時間です。大学在学中の合格率31.9%が全区分で最も高く、大学卒の20.8%を11ポイント上回っていました。仕事と家庭の責任が重くなる40代で、週に何時間を勉強に充てられるか。「試験との両立に時間がかかる」という理由は正しく、対処できるのは職場選びです。

4つの理由のうち、年齢そのものが原因だったものはありませんでした。採用と求人の厳しさは未経験者が最初に応募する求人の話で、年収の落差は職種の違い、試験の難しさは勉強時間の問題です。どれも、いま持っているものと選ぶ職場で変わります。

有資格者・科目合格者・未経験者、それぞれの進め方

3つの状況で、転職市場での評価も、最初にすることも違います。

税理士有資格者は、年齢より事務所の規模で年収が決まる

資格を持つ40代は、転職市場で最も有利な立場です。令和8年7月末時点の税理士登録者82,310人のうち、第6回税理士実態調査の構成比で見ると60歳以上が53.8%を占めています。日本税理士会連合会も同じ資料で、関与先の代替わりで若い経営者が増えているため若手の活躍が期待されると書いています。40歳代は17.1%で、この業界では40代が若手側です。

有資格者の転職で年収を動かすのは、年齢ではなく事務所の規模でした。40〜44歳の年収換算は10〜99人で797万円、1,000人以上で1,001万円。45〜49歳でも963万円と1,079万円です。同じ資格、同じ年齢で、規模によって200万円前後の差があります。

ただし、規模を上げることだけが正解ではありません。将来の独立を考えているなら、顧問先との距離が近い中小規模の事務所のほうが、顧問先を引き継げる可能性があります。相続・資産税、国際税務、事業承継など専門分野を深めたいなら、その案件が集まる法人です。年収と役職だけで比べず、どの案件を担当できるかを先に確かめてください。

科目合格者は、残りの科目を終えられる職場かどうかがすべて

科目合格者の転職で最優先するのは、残りの科目の勉強を続けられる環境です。合格した科目は生涯有効なので、働きながら1科目ずつ進められます。41歳以上の合格率が11.5%である以上、労働条件の悪い事務所に入って勉強時間を失うことが、最も避けたい失敗です。

面接で確かめる条件は3つです。

  • 2月から5月の申告期の残業時間の実態
  • 試験前休暇や時短勤務など、試験を支援する制度の有無
  • 科目合格者の在籍実績と、直近で合格した人がいるか

科目合格は選考でも評価されます。40代でも、合格科目があれば勉強を続けられることの証明になります。応募書類には合格科目と受験予定の科目を書き、何年後に登録するつもりかを伝えてください。合格科目数ごとの求人と年収は、税理士の科目合格は意味ない?転職できる? 合格科目数別の市場価値と失敗しない転職戦略で整理しています。

未経験者は、経理経験か簿記2級で「育てる時間」を短くする

未経験・無資格の40代が最初にすることは、これまでの経験が会計の仕事のどこにつながるかを探すことです。事業会社で経理・財務を担当した経験があれば、それだけで会計事務所に応募できます。仕訳の作成、月次決算、顧問税理士とのやり取りといった経験は、応募書類に具体的に書いてください。

42歳で事業会社の経理を15年担当してきた人なら、「月次決算の締めと顧問税理士への資料提出を10年以上担当」と書けます。事務所側から見れば、教える時間が大きく減る人材です。同じ未経験でも、中身は人によってまったく違います。

経理経験がない場合は、日商簿記2級から始めてください。未経験可の求人での評価が変わります。そして入所したら、2年で2つのものが手に入ります。税法科目の受験資格(会計に関する事務に2年以上従事)と、税理士登録に必要な実務経験です。

未経験可の事務所に入って2年働けば、受験資格と登録要件の両方がそろいます。

簿記論と財務諸表論は受験資格が不要なので、入所した年から受け始められます。この順番を知らずに勉強だけ先行させると、5科目そろった時点で実務経験がゼロという状態になりかねません。

40代の税理士転職で選べる4つの転職先

転職先は大きく4つです。未経験で入れるかどうかと、40代の年収の目安を先に比べておきます。

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転職先未経験で入れるか40〜44歳の年収の目安向いている人
個人会計事務所入りやすい会計事務員486万円/税理士797万円(10〜99人)実務を早く一通り経験したい人
税理士法人経験・資格重視税理士968万〜1,001万円(100人以上)資格取得と両立したい科目合格者
一般企業の経理・税務部門経理経験があれば可会計事務員540万円(企業規模計)勤務時間の見通しを立てたい人
コンサルティングファーム原則経験者1,000万円超のオファーもある有資格者で専門性を上げたい人

※ 年収は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第5表から算出。コンサルティングファームは公的統計に区分がないため目安のみ

個人会計事務所は未経験でも入れるが、事務所ごとの差が大きい

未経験・無資格の40代が最も入りやすいのが個人会計事務所です。少人数のため、記帳代行から巡回監査の補助、確定申告の応援まで、早い段階から幅広い仕事に関わります。実務経験を短期間で積むには合っています。

ただし、所長の方針で教育体制も残業時間も給与も変わります。「何でもやってもらう」という説明しか返ってこない事務所は、入ってから話が違うとなりやすい職場です。担当する顧問先の件数と、教育担当がつくかどうかは確かめてください。事務所ごとの見極め方は、「税理士事務所はやめとけ」と言われる理由と後悔しない選び方にまとめました。

税理士法人は教育体制が整うが、未経験の入所は難しい

税理士法人は令和8年7月末時点で主たる事務所が5,319あり、数名規模から数百名規模まで幅があります。複数の税理士が在籍するため、研修や試験休暇など資格取得を支える仕組みがある法人が少なくありません。科目合格者が残りの科目を目指しながら働く場としては合っています。

その分、実務経験や合格科目数を問う求人が中心で、完全未経験での入所は簡単ではありません。個人事務所で経験を積み、科目をそろえてから税理士法人へ移る。40代にはこの順番が現実的です。

一般企業の経理・税務部門は、経理経験があれば選べる

事業会社の経理・税務部門も、簿記や科目合格の知識を使える転職先です。繁忙期は自社の決算期に集中するので、複数の顧問先の申告期限が2月から5月に続く会計事務所より、勤務時間の見通しが立ちます。

ただし、会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍で、無資格・未経験の応募は厳しくなります。経理実務の経験者が科目合格を強みに税務の職種へ応募する形なら、40代でも通ります。事務所と迷う場合は、税理士登録して顧問業務を担いたいなら事務所、企業内で税務の専門家として働きたいなら事業会社です。

コンサルティングファームは有資格者向け

税務コンサルティングファームは、事業承継、組織再編、国際税務といった案件を扱い、報酬もそれに見合います。1,000人以上の税理士法人の40代前半1,001万円を上回るオファーも、この領域では珍しくありません。

その代わり、税理士資格に加えて法人税務や資産税の実務経験を求める求人が中心です。未経験者が応募できる求人はほぼなく、有資格者がさらに専門性を上げるときの選択肢です。

応募する前に決めておく3つのこと

同じ経歴でも、準備で選考結果は変わります。40代の応募で採用側が確かめたいのは「すぐ実務を任せられるか」「本気でこの業界に来る気があるか」「長く働けるか」の3点なので、準備もこの3点に対応させます。

前職の経験が顧問先とのやり取りにどう役立つかを書く

40代で最も評価されるのは、20年前後の社会人経験です。営業の折衝、管理職としてのマネジメント、特定業界の商習慣への理解。税理士の仕事は顧問先とのやり取りが中心なので、どれも役に立ちます。

「コミュニケーション能力があります」では何も伝わりません。「製造業の営業を15年経験しました。顧問先の商流や原価の話は初日から理解できます」のように、会計の仕事とのつながりまで書いてください。職務経歴書を書く前に、自分の経験が顧問先とのやり取りにどう役立つかを書き出すと、この文が作れます。

下げられる年収の下限を、家計の数字で決める

未経験なら、入所時の年収は432万〜466万円が目安です。応募を始める前に、住宅ローンと教育費を書き出して、最低いくら必要かを数字にしてください。求人ごとに迷わずに済みます。

そのうえで、税理士になったあとの797万〜1,001万円と、そこまでの年数(46歳前後)を家族と共有しておきます。下がる期間を数年の準備期間として受け入れられるかどうかで、選べる求人が変わります。

勉強の実績と受験予定を1行で書く

「本気でこの業界に来る気があるか」への答えは、熱意の言葉ではなく事実です。「簿記2級を取得済みで、来年8月の簿記論受験に向けて学習中」のように、実績と計画を1行で書いてください。簿記論・財務諸表論は受験資格が不要なので、まだ受けていない人でも受験予定を書けます。

働き方の確認も同じです。繁忙期の残業時間、担当件数、在宅勤務の可否は面接で聞いて構いません。長く働ける人を探している事務所ほど、この質問に具体的に答えます。答えを濁す事務所は、入ってからも同じです。

未経験可の求人や科目合格者を歓迎する求人は、ハローワークにはほとんど出ません。会計業界に特化した転職エージェントは、事務所ごとの残業時間や試験への理解など求人票に載らない情報を持っていて、40代の転職事例を踏まえた書類添削も任せられます。まず1〜2社に登録し、自分の経歴でどんな求人が紹介されるかを確かめると、いまの評価が分かります。

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40代からの税理士転職でよくある質問

40代の転職を考えるときに出てくる疑問をまとめました。

40歳から税理士を目指して間に合いますか?

間に合いますが、40代のうちに税理士になるのは難しく、現実的には46歳前後です。未経験なら簿記2級を取って入所し、2年の実務で税法科目の受験資格と登録要件を満たし、税法3科目を1年1科目で進めると46歳になります。1科目落とすごとに1年延びます。第6回税理士実態調査では70歳以上で現役の税理士が23.7%いるので、46歳で登録しても20年以上働けます。

40代未経験でも会計事務所に転職できますか?

できます。ただし応募できるのは未経験可の求人に限られ、会計事務の有効求人倍率は0.56倍です。経理経験を具体的に書くか、日商簿記2級を取って、教える時間を減らせる材料をそろえてください。未経験可の求人が比較的多い個人会計事務所に入り、実務経験を積む進め方が現実的です。

40代から税理士になると年収はどのくらいですか?

入所時と資格取得後で区分が違います。令和7年賃金構造基本統計調査を年収換算すると、未経験で入った40〜44歳の会計事務員は経験0〜4年で約432万〜466万円です。税理士になったあとの「公認会計士,税理士」区分は、40〜44歳で10〜99人の事務所が約797万円、1,000人以上が約1,001万円でした。企業規模10人以上の雇用者が対象で、開業税理士は含まれていません。

税理士の転職は何歳までにすべきですか?

法律上の年齢制限はなく、採用で見られるのは年齢より実務経験と勉強の実績です。上限があるとすれば、税理士になる年齢から何年働くつもりかで自分で決めるものです。40歳で始めれば46歳前後に登録でき、70歳まで働けば24年あります。50歳で始めれば56歳前後の登録で、そこから15年ほどです。この年数を受け入れられるかどうかが、答えになります。

科目合格なしでも応募できる求人はありますか?

あります。未経験可・無資格可の求人は個人会計事務所を中心にあります。簿記論・財務諸表論は令和5年度から受験資格が不要になったので、応募と並行して受験準備を始められます。無資格で応募できる求人は、会計業界に特化したエージェントに絞り込んでもらうと探す手間が省けます。

出典

この記事を書いた人

アドバイザーナビが運営する「税むすび」では会計士・税理士関連の情報を発信しています。これまでアドバイザーナビは「資産運用ナビ」を中心に適切なプロフェッショナルのプラットフォームを構築してきました。税理士紹介ナビでは、税理士へのインタビュー・アンケート調査などを通じて、税理士や税金にまつわる情報発信をしていきます。

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