税理士補助の志望動機は、経歴によって書ける材料が変わります。それでも、採用する側が確かめたいことには共通点があります。
会計事務所の求人を専門に扱う求人サイト「会計求人プラス」で、正社員・未経験OKの求人83件(54事務所)の応募条件の欄を読むと、最も多く書かれていたのは簿記の知識(37事務所)、次が税理士試験に関すること(目指す人や科目合格者を歓迎するなど、31事務所)でした(2026年10月30日時点)。「コミュニケーション」と書いていたのは4事務所だけです。
採用する側は、人柄を表す言葉よりも、簿記をどこまで学んだか、税理士試験をどうするかを確かめようとしています。志望動機でもこの2つを具体的に書けば、その関心に答えられます。
この記事では、採用する側が税理士補助の志望動機で確かめていることと4つのステップでの組み立て方、未経験・経験者別の例文、面接で聞かれやすい質問と答え方を紹介します。
- 採用する側が税理士補助の志望動機で確かめていること
- 税理士補助の志望動機の組み立て方
- 未経験・科目合格者・経験者別の志望動機の例文
- 評価を下げやすい書き方と直し方
- 税理士事務所・税理士法人の面接で聞かれやすい質問と答え方
税理士補助の志望動機で採用する側が確かめていること
税理士補助の志望動機で採用する側が確かめているのは、会計業界を選んだきっかけ、その事務所を選んだ根拠、入所後に任せられる仕事の3つです。その前提として、事務所が求人票で何を求めているかを知っておくと、志望動機に書く材料を選びやすくなります。
会計事務所の未経験OK求人で多く書かれている「求める人物像」
会計求人プラスの求人票には、応募の条件や歓迎する人を書く「その他条件」の欄があります。正社員・未経験OKの求人83件について、この欄に書かれていた内容を事務所ごとに分類すると、次のようになりました。
| その他条件の欄に書かれていた内容 | 事務所数 | 割合 |
|---|---|---|
| 簿記の資格・知識(日商簿記2級以上など) | 37 | 69% |
| 税理士試験(目指す人・受験中の人・科目合格者を歓迎) | 31 | 57% |
| 社会人・経理・事務の経験 | 18 | 33% |
| PCスキル(Word・Excelなど) | 11 | 20% |
| 学ぶ意欲・勉強中であること | 9 | 17% |
| コミュニケーション | 4 | 7% |
| 素直さ・誠実さ・報告や相談 | 4 | 7% |
| 長く働けること | 1 | 2% |
※ 出典:会計求人プラス「【正社員】未経験OK」の求人83件(54事務所)の「その他条件」欄を税むすび編集部が分類(2026年10月30日時点)。1つの事務所が複数の求人を出しているため、事務所単位で数えた。掲載求人の一部で、市場全体の割合を示すものではありません
簿記と税理士試験は、どちらも半数を超える事務所が書いていました。
未経験OKの求人でも、簿記の知識があるか、税理士試験に向けて勉強しているかは、応募者を選ぶ目安になっています。
志望動機で「数字が好き」「コツコツ取り組める」と書くだけでは、こうした条件に答えたことになりません。簿記は何級をいつ取ったか(または勉強中か)、税理士試験は受けるつもりか、を一言でも入れておくと、採用する側が知りたいことに直接答えられます。
会計業界と税理士補助の仕事を選んだきっかけ
会計業界の転職を支援するMS-Japanは、面接対策のコラムで、未経験の人は「なぜ会計業界なのか」を掘り下げて準備するよう勧めています。同じ数字を扱う仕事でも、事業会社の経理は1社の数字を見るのに対し、会計事務所では多くの顧問先の数字に関われ、税理士を目指す人なら登録に必要な実務経験も積めます。
税理士補助の仕事は、税理士の監督のもとで記帳や決算書・申告書の作成を手伝うことです。仕事の中身を知らないまま書いた志望動機は、どの職種にも当てはまる内容になりがちです。応募の前に、1年の仕事の流れまで確かめておきましょう。
税理士補助の仕事内容と1年の流れは、税理士補助とは?仕事内容と向いている人にまとめています。
数ある事務所の中から応募先を選んだ根拠
MS-Japanが会計事務所の面接でよく聞かれる質問に挙げているのが、数ある事務所の中から応募先を選んだ理由です。2021年の経済センサスでは、税理士事務所の62.1%が従業者1〜4人の小さな事務所で、顧問先に多い業種や力を入れている分野は事務所ごとに違います。
志望動機には、顧問先の業種、相続や医療などの得意分野、研修の仕組みのうち、応募先ならではの点を1つ入れます。そうすれば、事務所名を入れ替えてほかに出せる文章にはなりません。
入所後に任せられる仕事と、長く働く見通し
MS-Japanは、会計事務所の面接で見られるポイントとして、長く働いてくれるか(定着性)と、前職の経験を入所後に生かせるか(再現性)の2つを挙げています。志望動機でも、この2つが読み取れるように書きます。
未経験の人は、前職で身につけたことと、入所までに準備すること(簿記の勉強、会計ソフトの操作など)を書きます。経験者は、担当した件数や税目を数字で示すと、任せられる仕事が伝わります。
税理士補助の志望動機を4つのステップで組み立てる
志望動機は、次の4つのステップで材料を集めてから文章にすると、話がそれずにまとまります。厚生労働省の履歴書の様式例では、志望動機は特技やアピールポイントと同じ1つの欄に書く形です。各ステップから1〜2文ずつ選ぶと、欄に収まる長さになります。
①会計や税金に関心を持ったきっかけを具体的な出来事で書く
最初に、会計や税金に関心を持ったきっかけを書きます。「数字が好き」だけでは、ほかの応募者と区別がつきません。前職で請求書や経費の精算を担当した、簿記の勉強で決算書が読めるようになった、など実際の出来事を1つ入れます。
前職の営業事務で請求書の発行と入金の確認を担当するうちに、取引の数字が会社の決算にどうつながるのかに関心を持ち、日商簿記2級を取得しました。
②求人票と事務所のサイトで顧問先の業種や得意分野を調べる
次に、応募先の事務所について調べます。確かめたいのは次の3点です。
- 顧問先の業種と規模:求人票の「主要な取り扱い業種」や事務所のサイトに書かれていることが多い
- 力を入れている分野:相続税、医療・介護、創業支援、クラウド会計の導入など
- 事務所の形態:個人の税理士事務所か税理士法人か。日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で調べられます
調べたことのうち、自分の経験や関心とつながるものを1つ選びます。それが「この事務所を選んだ根拠」になります。
③前職の経験を税理士補助の仕事に置き換えて書く
3つ目に、前職の経験を税理士補助の仕事に置き換えます。会計と関係のない仕事でも、置き換えられる経験はあります。
| 前職の経験 | 志望動機での書き方の例 |
|---|---|
| 営業で顧客の要望を聞いてきた | 顧問先の経営者から必要な資料を集め、期限までに仕事を進める場面で生かせる |
| 店舗で売上や現金の締めをしてきた | 毎日の数字を合わせ、合わないときに原因を探す作業に慣れている |
| 事務で書類のチェックをしてきた | 記帳や申告書の確認で、誤りに気づく正確さを発揮できる |
| 接客で問い合わせに対応してきた | 電話や来所での顧問先の質問に、相手に合わせた言葉で答えられる |
経験を並べるだけでなく、税理士補助のどの仕事で生かせるかまで書くと、採用する側が入所後の姿を思い浮かべやすくなります。
④入所後に学ぶことと目指す姿を期間とあわせて書く
最後に、入所後に学ぶことと目指す姿を書きます。「いずれは」で済ませず、期間を入れるのがポイントです。
- 簿記の勉強中なら、いつ何級を受けるか
- 税理士を目指すなら、来年度にどの科目を受けるか
- 税理士を目指さないなら、何年でどの仕事を1人で担当できるようになりたいか
求人票の条件欄で多くの事務所が確かめていたのは、簿記と税理士試験でした。この2つに触れておくと、採用する側の確かめたいことに答えた志望動機になります。
未経験から税理士補助に応募するときの志望動機の例文
ここからは、経歴ごとの志望動機の例文を紹介します。どれも書き方を示すための架空の例です。事務所名や経歴は、自分のものに置き換えて使ってください。
例文1 税理士を目指して実務経験を積みたい人
税理士を目指しており、試験の勉強と並行して税務の実務を身につけたいと考え、応募しました。現在は日商簿記2級を取得し、来年度の税理士試験で簿記論を受験する予定です。貴所は記帳から決算・申告まで担当者が一貫して受け持つ体制と伺い、税理士登録に必要な実務経験を、決算や申告の仕事を通じて積めると考えました。前職の営業事務で身につけた期限を守る段取りを生かし、まずは記帳と月次の試算表を正確に仕上げられるよう努めます。
- 簿記の級と、受験する科目・時期を書く
- 「実務経験を積みたい」を理由にするなら、応募先で決算や申告まで担当できるかを確かめてから書く
税理士として登録するには、試験の合格に加えて、租税や会計に関する事務に通算2年以上従事した実務経験が必要です(税理士法第3条)。ただし、特別な判断を要しない機械的な事務は含まれず、大阪・京都など近畿2府4県の税理士が所属する近畿税理士会の手引きでは、入力業務などの単純な事務は会計業務から除くよう求めています。応募する職種が「入力スタッフ」か「税務会計スタッフ(税理士補助)」かは、志望動機を書く前に確かめておきましょう。実務経験に当たるかどうかは、最終的には登録する税理士会が判断します。
税理士試験の科目合格が転職でどう評価されるかは、税理士の科目合格で転職できる?で取り上げています。
例文2 税理士を目指さず事務や経理の経験を生かしたい人
事業会社で5年間、経理事務として月次の締めと経費精算を担当してきました。決算期に顧問の税理士事務所とやり取りするなかで、複数の会社の数字を扱い、経営者に近い立場で支える仕事に関心を持ちました。税理士資格の取得は考えていませんが、記帳や年末調整などの実務で長く力を発揮したいと考えています。貴所は地域の中小企業の顧問先が多く、経理担当者のいない会社の記帳を支える仕事が中心と伺い、これまでの経験を最も生かせると考え志望しました。
- 税理士を目指さないことは隠さず、長く働く意思と担当したい仕事で示す
- 事業会社の経理の経験は、決算や申告のどこに関わったかまで書く
会計求人プラスの集計では、税理士試験に触れていた事務所が57%でした。裏を返せば、試験について書いていない事務所も4割あります。税理士を目指さない人は、求人票の条件欄に試験の記載がない事務所や、資格の有無を問わない役割を書いている事務所を選ぶと、志望動機と事務所の方針がかみ合います。
例文3 営業や接客など会計と関係のない仕事から移る人
法人営業として、取引先の担当者と納期や条件を調整する仕事を4年間続けてきました。見積もりや売上の管理をするなかで会社の数字に関心を持ち、日商簿記3級を取得して、現在は2級の勉強をしています。貴所は飲食業や小売業の顧問先が多く、経営者と直接話しながら資料を集める仕事が多いと伺いました。営業で身につけた、相手の都合に合わせて期限までに必要なものをそろえる力を、顧問先とのやり取りで生かしたいと考え、志望しました。
- 会計と関係のない仕事でも、顧問先とのやり取りや期限の管理に置き換えて書く
- 簿記の学習状況(取得済みの級と勉強中の級)を必ず入れる
簿記2級が会計事務所への転職でどう見られるかは、簿記2級の転職は厳しい?で紹介しています。
例文4 パートや時短勤務で税理士補助を始めたい人
子育てと両立しながら、事務の経験を生かせる仕事を探しており、応募しました。以前は会社の総務で、請求書の発行や社員の経費精算を担当していました。日商簿記2級を持っており、会計ソフトへの入力や書類の整理から、少しずつ担当できる仕事を増やしたいと考えています。勤務は平日の9時から15時を希望しますが、確定申告の時期は勤務日を増やすなど、事務所の繁忙期にもできる範囲で対応します。
- 勤務できる曜日・時間と、繁忙期にどこまで対応できるかを正直に書く
- 任せてほしい仕事の範囲を、入力から始めて広げたいなどと具体的に書く
パートや時短で働く期間も、勤務時間を積み上げれば、税理士登録に必要な実務経験に数えることができます。将来税理士を目指すかもしれない人は、入力だけでなく決算の補助まで担当できるかも確かめておくと安心です。
科目合格者・経理経験者・会計事務所経験者の志望動機の例文
税理士試験の科目合格者や、経理・会計事務所で働いた経験がある人は、経験の中身を数字で示し、応募先で何をしたいかまで書くと、即戦力として伝わります。税理士法人への転職を考えている人も、同じ組み立て方で書けます。
例文5 受験を続けながら働きたい税理士試験の科目合格者
簿記論と財務諸表論に合格し、来年度は法人税法を受験する予定です。これまでは専門学校に通いながら受験に専念してきましたが、税法科目の理解を深めるには実務の経験が欠かせないと考え、働きながら受験を続けることにしました。貴所は法人の顧問先が多く、試験前の休暇制度を職員の方が実際に利用していると伺いました。法人税の申告に関わる仕事を通じて、試験の勉強と実務の両方で力をつけ、5年以内に5科目の合格を目指します。
- 合格した科目と、次に受ける科目・合格を目指す時期を書く
- 試験と仕事をどう両立するか(休暇制度、勉強時間の確保)を、応募先の制度と結び付けて書く
税理士試験は毎年8月に行われ、2026年度(第76回)は8月4日から6日まででした。1科目ずつ受験でき、5科目に合格すると試験の合格となります。試験前の休暇制度があっても、実際に使った職員がいるかは事務所によって違うため、面接で確かめておきましょう。
例文6 事業会社の経理から税理士補助へ移る人
製造業の会社で6年間、経理として月次・年次の決算と、法人税・消費税の申告資料の作成を担当してきました。申告書は顧問の税理士事務所に作成を依頼していたため、税務の判断まで自分で担える力をつけたいと考えるようになりました。1社の数字を深く見てきた経験を生かしつつ、業種の違う複数の顧問先を担当することで、税務の知識の幅を広げたいと考えています。貴所は製造業の顧問先が多く、決算書の作成から申告まで担当できる体制と伺い、志望しました。
- 決算・申告のどこまでを自分で担当し、どこから税理士事務所に任せていたかを書き分ける
- 1社を深く見る経理と、複数の顧問先を受け持つ会計事務所の違いを、移りたい理由に結び付ける
例文7 会計事務所から税理士法人へ移る人
個人の税理士事務所で4年間、法人30件・個人20件の記帳から申告までを担当してきました。担当先のなかで相続の相談を受ける機会が増えましたが、現在の事務所では相続税の申告をほとんど扱っていないため、資産税を専門に扱う部門のある貴法人で経験を積みたいと考えました。これまで法人税と所得税の申告を期限内に仕上げてきた段取りを生かし、まずは相続税申告の補助から担当し、3年後には相続の案件を1人で受け持てるようになることを目指します。
- 担当件数・税目・担当の範囲を数字で書く
- 今の事務所ではできず、応募先でできることを、移りたい理由の中心に置く
個人の税理士事務所と税理士法人の違いは、会計事務所と税理士事務所の違いは?にまとめています。
今の事務所を辞める理由を前向きな志望動機につなげて伝える
経験者は、志望動機とあわせて「なぜ今の事務所を辞めるのか」も問われるでしょう。MS-Japanも、経験者は「なぜ現職ではなくこの事務所なのか」を掘り下げて準備するよう勧めています。辞める理由に不満があっても、次の職場で実現したいことに言い換えて伝えると、志望動機と話がつながります。
| 辞める理由(本音) | 志望動機につなげた伝え方の例 |
|---|---|
| 繁忙期の残業が多すぎる | 担当をチームで分け合う体制のもとで、一件ずつの仕事の質を上げたい |
| 記帳ばかりで申告に関われない | 決算や申告まで担当し、税務の判断の経験を積みたい |
| 教えてもらえる人がいない | 研修や確認の仕組みがある環境で、専門分野の知識を体系的に身につけたい |
| 年収が上がらない | 担当件数や資格に応じて評価される環境で、責任のある仕事を任されたい |
言い換えた内容は、応募先の特徴と合っている必要があります。残業を理由に辞めるなら、応募先の繁忙期の残業時間も確かめておきましょう。
繁忙期の残業の上限や、残業の少ない事務所の選び方は、税理士補助はきつい?「やめとけ」と言われる理由と未経験で入る事務所の選び方で紹介しています。
税理士補助の志望動機で評価を下げやすい書き方と直し方
志望動機は、書いた本人が良いと思っていても、採用する側には伝わらないことがあります。評価を下げやすい書き方を4つ、直し方とあわせて紹介します。
「勉強させてほしい」だけで事務所への貢献が書かれていない
未経験ですが、貴所で一から勉強させていただきたいと考えています。
未経験のため、まずは記帳と書類の整理を正確に仕上げることから貢献します。並行して簿記2級の勉強を進め、11月の試験で合格を目指します。
学ぶ意欲を書くこと自体は問題ありません。ただ、「勉強させてほしい」だけでは、事務所にとって何が得られるのかが分かりません。入所後すぐにできることと、学ぶ計画をセットで書きます。
給与や休日、通勤のしやすさなど条件だけを志望理由にしている
自宅から近く、土日休みで働きやすいと考え、志望しました。
地域の中小企業を支える仕事に関心があり、近隣の飲食店や小売店の顧問先が多い貴所を志望しました。
通勤や休日は大切な条件ですが、それだけが理由だと、条件の良い事務所がほかにあれば移ってしまう人だと受け取られかねません。条件は、面接の後半や内定後に確かめれば十分です。
求人の年収の見方は、税理士補助の年収はいくら?経験年数と科目合格で変わる相場と上げ方で詳しく取り上げています。
事務所の名前を入れ替えても通じる内容になっている
「地域に貢献している貴所の理念に共感しました」のような一文は、どの事務所にも当てはまります。顧問先の業種、力を入れている分野、研修の仕組みなど、応募先で調べたことを1つは入れ、なぜそこに引かれたのかを自分の経験と結び付けて書きます。
税理士試験を受けるかどうかがあいまいなまま書いている
「いずれは税理士も考えたい」のような書き方は、受けるのか受けないのかが伝わりません。会計求人プラスの集計では、57%の事務所が税理士試験について条件欄に書いており、採用する側にとって関心の高い点です。
- 受ける人:どの科目をいつ受けるか
- 受けない人:資格の代わりに、どの仕事で長く力を発揮したいか
- 迷っている人:まず実務を経験してから判断したいこと、判断する時期
どれを選んでも構いません。はっきり書くことで、事務所は入所後の働き方を考えやすくなります。
税理士事務所・税理士法人の面接で聞かれることと答え方
会計求人プラスの正社員・未経験OKの求人30件では、すべてが応募書類の提出から始まり、19件は面接が1〜2回でした(2026年10月29日時点)。選考の流れや筆記試験は、会計事務所へ転職するには?にまとめています。面接では、志望動機を口頭で話したうえで、次のような質問が続きます。
志望動機のほかに面接で聞かれやすい質問と答え方の例
会計業界の転職を支援するMS-Japanとアカウントエージェントは、面接対策のコラムで聞かれやすい質問を挙げています。2社に共通する質問を中心に、採用する側が確かめたいことと答え方のポイントを並べると、次のとおりです。
| 質問 | 採用する側が確かめたいこと | 答え方のポイント |
|---|---|---|
| これまでの仕事の内容を教えてください | 入所後にどの仕事から任せられるか | 応募先の仕事に近い経験から、件数や期間を入れて話す |
| 会計や税務の知識はどの程度ありますか | 教える必要のある範囲 | 簿記の級、勉強中の内容、使ったことのある会計ソフトを具体的に |
| 仕事で苦労したことと、どう乗り越えたか | 繁忙期や期限に追われたときの動き方 | 期限や量の多い仕事を、段取りで乗り切った経験を選ぶ |
| 入所後にどうなりたいですか | 長く働く見通しと、事務所の方針と合うか | 税理士試験の予定や、担当したい仕事を期間とあわせて話す |
| ほかに応募している事務所はありますか | 入所の見込み | 応募の状況は正直に伝え、具体的な事務所名は挙げない |
※ 出典:MS-Japan「会計事務所の面接対策」、アカウントエージェント「税理士補助の志望動機」に挙げられた質問をもとに税むすび編集部が整理(2026年10月30日閲覧)
面接の最後には、応募者から質問する時間が設けられることもあります。担当件数や未経験者が最初に任される仕事など、聞いておきたい質問は税理士補助とは?の「会計事務所の面接で聞きたい4つの質問と注意したい回答」で紹介しています。
「税理士を目指していますか」と聞かれたときの答え方
税理士補助の面接で、とくに聞かれやすいのがこの質問です。求人票の条件欄でも、半数を超える事務所が税理士試験に触れていました。答え方は、自分の考えによって3つに分かれます。
はい、目指しています。簿記論は来年8月の試験で受け、3年で簿記論・財務諸表論・法人税法の3科目の合格を目指します。
資格の取得は考えていません。その分、記帳や年末調整などの実務を早く1人で担当できるようになり、長く事務所の仕事を支えたいと考えています。
まだ決めていません。まず1年間実務を経験し、税務の仕事を続けたいと思えたら、簿記論から受験を始めるつもりです。
どの答えでも、志望動機に書いた内容と食い違わないようにします。
「繁忙期の残業に対応できますか」と聞かれたときの答え方
会計事務所は、年末調整から確定申告、3月決算の申告まで、11月から5月にかけて忙しい時期が続きます。この質問には、「できます」とだけ答えるより、対応できる範囲を具体的に伝えるほうが、入所後の食い違いを防げます。
前職でも月末の締めの時期は残業がありました。繁忙期に残業が増えることは理解しています。差し支えなければ、昨年の繁忙期の月ごとの残業時間を教えていただけますか。
答えたうえで繁忙期の残業の実績を聞いておくと、入所後の働き方を具体的に思い浮かべられます。
残業の法律上の上限や、固定残業代つきの求人の見方は、税理士補助はきつい?で取り上げています。
面接で聞かれても答えなくてよい本籍や家族に関する質問
厚生労働省は、応募者の適性や能力に関係のない事項を採用選考で把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。挙げられているのは、次のような事項です。
| 区分 | 主な事項 |
|---|---|
| 本人に責任のない事項 | 本籍・出生地、家族に関すること(職業・続柄・健康・学歴・収入など)、住宅の状況、生活環境・家庭環境 |
| 本来自由であるべき事項 | 宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書 |
※ 出典:愛知労働局「公正な採用選考システムの確立について」(令和8年度)に掲載の「就職差別につながるおそれがある14事項」から、面接の質問に関わる事項を抜粋
また、結婚の予定や、子どもが生まれた後も働き続けるかを女性にだけ質問することは、男女雇用機会均等法の指針で、性別による差別の例に挙げられています。
答えにくい質問には、「仕事に関係のある範囲でお答えします」と伝えて答えを控える方法もあります。男女雇用機会均等法に関する相談は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が受け付けています。
志望動機の添削や面接対策で転職エージェントを使うと確かめやすいこと
志望動機や面接の準備は自分でもできます。ただ、応募先ごとに志望動機を書き分けるのが難しい人や、在職中で準備の時間が限られる人は、転職エージェントを使うと進めやすくなります。
応募先の事務所が面接で重視している点を事前に聞ける
会計業界を担当する転職エージェントは、求人を出している事務所の採用の傾向を知っていることがあります。次のような点を事前に聞けると、志望動機を応募先に合わせやすくなります。
- 税理士を目指す人を求めているか、実務で長く働く人を求めているか
- 面接の回数と、所長が面接に出るかどうか
- 過去に採用された人の経歴
志望動機の添削や面接の練習、面接日程の調整を代わりに進めてもらえるのも利点です。
税理士補助の求人を扱う転職エージェントの選び方
転職エージェントを選ぶときは、次の3点を確かめます。
- 会計事務所・税理士法人の求人を扱っているか、未経験向けの求人があるか
- 応募書類の添削や面接対策を受けられるか
- 担当者が、税理士補助と入力スタッフの違いや、税理士試験との両立について理解しているか
扱う求人はエージェントごとに違うため、会計業界の求人を扱うエージェントを2〜3社比べると、条件に合う求人を見つけやすくなります。
会計事務所・税理士法人の求人を扱う転職エージェントの特徴と違いは、税理士に強い転職エージェントの比較にまとめました。各社の評判はレックスアドバイザーズの評判、ヒュープロの評判、MS-Japanの評判で確認できます。
税理士補助の志望動機でよくある質問
税理士補助の志望動機を書くときに迷いやすい点を、Q&A形式でまとめました。
税理士補助の志望動機は何文字くらいで書けばいい?
決まった文字数はありません。厚生労働省の履歴書の様式例では、志望動機は「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」をまとめて書く1つの欄で、文字数の指定はありません。欄に収まる長さ、応募フォームに文字数の指定があればその範囲で書きます。アカウントエージェントは、300字前後を目安に挙げています。
簿記の資格がなくても税理士補助に応募できる?
応募できる求人はあります。会計求人プラスの正社員・未経験OKの求人30件を確かめると、簿記2級以上を条件にした求人は17件で、3級以上が6件、簿記の条件がない求人も7件ありました(2026年10月29日時点)。資格がない人は、勉強中であることと受験の予定を志望動機に書いておきましょう。応募の進め方は会計事務所へ転職するには?も参考にしてください。
志望動機と自己PRはどう書き分ける?
志望動機は「なぜこの事務所で働きたいか」、自己PRは「自分に何ができるか」を書く欄です。同じ経験を両方に書く場合は、志望動機では応募先を選んだ理由とのつながりを、自己PRでは経験の中身と成果を中心にすると、内容が重なりません。
40代・未経験で税理士補助に応募するとき、志望動機で何を伝える?
前職の経験を税理士補助の仕事に置き換えて伝えることと、長く働く見通しを示すことが中心です。簿記の学習状況と、税理士試験を受けるかどうかもはっきり書きます。年齢ごとの転職の考え方は、税理士の転職は何歳まで?で紹介しています。
職務経歴書には何を書けばいい?
職務経歴書には、これまでの仕事の内容と実績を書きます。会計事務所に応募する場合は、担当した件数や税目、使った会計ソフトなど、入所後に任せられる仕事が分かる項目を入れると伝わりやすくなります。担当件数や税目の書き方と経歴別の記入例は、税理士の職務経歴書の書き方は?で紹介しています。
税理士補助の志望動機を書いたら次にやること
税理士補助の志望動機は、会計業界を選んだきっかけ、その事務所を選んだ根拠、入所後に任せられる仕事と学ぶ計画を、自分の経歴に合わせて書きます。書き終えたら、次の3つを進めましょう。
- 求人票の条件欄と見比べる:簿記と税理士試験について書いてあれば、志望動機でも触れているか確かめる
- 面接の答えを用意する:「税理士を目指していますか」「繁忙期の残業に対応できますか」の2つは、志望動機と食い違わない答えを準備する
- 応募先ごとに書き分ける:顧問先の業種や力を入れている分野など、応募先で調べたことを1つは入れる
志望動機の添削や、自分の経歴で応募できる会計事務所の相談をしたい人は、税理士に強い転職エージェントの比較から相談先を探してみてください。
※本記事の求人の集計は2026年10月29日・30日時点、法令は同日時点の内容です。最新の情報は各出典をご確認ください。
参考文献・出典
- 会計求人プラス「【正社員】未経験OKの会計事務所・税理士事務所の求人」(2026年10月30日閲覧)
- e-Gov法令検索「税理士法」
- e-Gov法令検索「税理士法施行令」
- 近畿税理士会「税理士登録申請の手引き」
- 国税庁「税理士試験Q&A」
- 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」
- 日本税理士会連合会「税理士情報検索サイト」
- 愛知労働局「公正な採用選考システムの確立について」
- 厚生労働省「改正雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について」
- 広島労働局「男女雇用機会均等法」
- 内閣府「男女共同参画白書 令和2年版」第2節 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進
- 岡山労働局(ハローワーク津山・美作)「履歴書の様式例」
- MS-Japan「会計事務所の面接対策」
- アカウントエージェント「税理士補助の志望動機」


