税理士事務所の年収はいくら?資格・規模・役職別の相場と上げ方

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税理士事務所の年収はいくら?資格・規模・役職別の相場

税理士事務所の年収は、どのくらいが相場なのでしょうか?

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、公認会計士と税理士をあわせた平均年収は810.8万円でした。一方、転職エージェントのアカウントエージェントが税理士354名に行った調査では、年収500万円未満の人が45.8%いました。

同じ税理士事務所で働く人でも、資格を持っているかどうか、事務所の規模、年齢によって年収は数百万円単位で変わります。自分の立場に近い数字と比べれば、今の年収が相場より低いのか、何を変えれば上がるのかがわかります。

この記事を読むとわかること
  • 税理士事務所の年収相場と公的統計の読み方
  • 無資格・科目合格・税理士それぞれの年収の目安
  • 事務所の規模と役職で変わる年収
  • 税理士事務所の年収が低いといわれる理由
  • 年収を上げる方法と求人票で確認したいこと
目次

税理士事務所の年収相場は資格の有無と事務所の規模で決まる

税理士事務所には、資格を持たないスタッフから、科目合格者、税理士まで、さまざまな立場の人が働いています。年収の水準は、資格と事務所の規模でおおむね決まります。

賃金構造基本統計調査で見る税理士事務所で働く人の年収

税理士の年収を職種別にまとめた公的統計は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査です。この調査の職種は「公認会計士,税理士」で、税理士だけの数値は公表されていません。

項目公認会計士,税理士
年収(毎月の給与×12+賞与)810.8万円
毎月の給与(残業代を含む)57.13万円
1年間の賞与125.25万円
平均年齢42.2歳
平均勤続年数8.5年

※ 出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別第1表(一般労働者、企業規模10人以上、男女計)

同じ調査で、全産業で働く人の平均年収は545.6万円でした。公認会計士・税理士の年収は、その約1.5倍の水準です。

この810.8万円は、税理士事務所で働くすべての人の平均ではありません。

資格を持たないスタッフの年収は、民間の転職サービスが公表している目安で見る必要があります。

公的統計の平均年収が税理士事務所の実態より高く見えるのはなぜ?

税理士事務所で働く人の中には、810.8万円という数字に実感がわかない人も多いでしょう。統計の平均が高く見える理由は、主に3つあります。

  1. 公認会計士と合わせた数字である
    • 監査法人などで働く公認会計士も同じ職種に含まれています
  2. 従業員10人未満の事務所が入っていない
    • 経済センサス(2021年)によると、全国の税理士事務所28,244か所のうち、従業者1〜4人の事務所が17,543か所で62.1%を占めます。こうした小さな事務所は統計の対象外です
  3. 一部の高い給与が平均を押し上げている
    • 残業代を含まない基本の月給(所定内給与)で見ると、人数のちょうど真ん中にあたる中央値は43.41万円で、平均の53.37万円より約10万円低くなっています

民間の調査では、統計より低い数字が出ています。dodaの平均年収ランキングで職種が「税理士」に分類された人の平均年収は485万円でした(2024年9月〜2025年8月の登録者データ)。

アカウントエージェントが税理士354名に行った調査(2026年5月)では、現在の年収で最も多かったのは500〜600万円未満で25.4%、次いで400〜500万円未満が23.7%でした。ただし回答者は20代と30代が48.0%を占めており、税理士登録者全体より若い人に偏っています。

※ 出典:総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別第17表、doda「平均年収ランキング(職種別)2025年版」、アカウントエージェント「税理士の転職に関する実態調査【2026年5月】」。いずれも対象と集計方法が異なるため、数値の大小を直接比べることはできません

統計に含まれない開業税理士や、年齢・経験年数ごとの税理士の年収は、税理士の年収はいくら?平均年収の現実と年齢・働き方による違いで紹介しています。

税理士事務所と会計事務所で年収相場は違う?

「会計事務所」は、税理士事務所や公認会計士事務所をまとめて呼ぶときによく使われる名前です。求人でも、税理士が開いた事務所が「〇〇会計事務所」と名乗っていることは珍しくありません。

どちらも記帳の代行、決算書の作成、税務申告が仕事の中心で、呼び方によって年収相場が変わるわけではありません。求人を比べるときは、事務所の名前ではなく、資格の扱い・事務所の規模・担当する業務で年収を見ましょう。

資格の有無で変わる税理士事務所の年収相場

税理士事務所の年収は、資格によって入り口の水準が大きく違います。立場ごとの目安は次のとおりです。

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立場年収の目安出典
無資格・未経験250万円程度からヒュープロ
無資格・経験者300万円前後〜350万円程度。一連の業務を一人で担当できると400万円前後ヒュープロ
科目合格者上記に資格手当が加わる例がある(1科目で月1万円など)ヒュープロ
税理士(雇われて働く人)統計の平均は810.8万円(公認会計士と合算)。民間調査では500〜600万円未満が最多厚生労働省、アカウントエージェント

※ 出典:ヒュープロ「税理士事務所・会計事務所の資格なしでの年収は?」(2025年10月24日)、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、アカウントエージェント「税理士の転職に関する実態調査【2026年5月】」。民間各社の数値は調査ではなく、各社の見解です

無資格・未経験で税理士事務所に入ったスタッフの年収

資格を持たずに税理士事務所に入ると、最初は記帳の入力や資料の整理から担当するのが一般的です。会計業界の転職サービスを運営するヒュープロは、「未経験者で250万円程度からスタートすることが多い」としています。

経験を積むと、顧問先を受け持ち、月次の処理から決算、税務申告まで担当するようになります。ヒュープロによると、経験者の年収は300万円前後〜350万円程度で、一連の業務を一人で担当できるレベルになると400万円前後も見えてきます。無資格のまま年収を上げるには、担当件数と任される業務の範囲を広げることが欠かせません。

管理部門・士業の転職サービスを運営するMS-Japanによると、中小規模の税理士法人の年収は350万〜500万円程度が中心です。

資格を持たずに税理士事務所で働く人の仕事内容や、未経験者を採用している事務所の特徴は、税理士補助とは?で紹介しています。

税理士事務所で働く簿記2級・科目合格者の年収と資格手当

簿記2級や税理士試験の科目合格は、採用のときの評価だけでなく、入所後の給与にも関わります。科目に合格すると資格手当を支給する事務所があり、ヒュープロは「1科目取得で1ヵ月1万円もらえたりもする」と紹介しています。1科目で月1万円なら、年間で12万円の上乗せです。

ただし、資格手当の有無や金額は事務所によって異なり、支給しない事務所もあります。科目合格の効果は手当よりも、法人税や相続税など合格した科目に関わる仕事を任されやすくなる点のほうが大きいでしょう。担当できる業務が増えれば、昇給や転職のときの評価につながります。

何科目の合格からどう評価されるかは税理士の科目合格で転職できる?、簿記2級での転職事情は簿記2級の転職は厳しい?で紹介しています。

勤務税理士(所属税理士)の年収

税理士事務所や税理士法人に雇われて働く税理士は、所属税理士と呼ばれます。日本税理士会連合会の第7回税理士実態調査(2024年4月時点)では、所属税理士の年齢は40代が30.2%と最も多く、30代から50代で71.7%を占めていました。

所属税理士の年収に最も近い公的統計は、賃金構造基本統計調査の810.8万円です。同じ調査で年齢別に見ると、30〜34歳は682.5万円、40〜44歳は890.7万円でした。

ただし、この統計には従業員10人未満の事務所で働く税理士が入っていません。民間の調査では500〜600万円台に回答が集まっており、小規模な事務所に勤める税理士の年収は、統計の平均を下回ることも珍しくないと考えられます。

※ 出典:日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査報告書」(2025年2月21日公表、会計事務所の広場の報道による)、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別第5表

公認会計士が税理士事務所・税理士法人で働く場合の年収

公認会計士は、税理士として登録して税理士事務所や税理士法人で働くこともできます。ただし、監査法人から移ると年収が下がるケースがある点に注意が必要です。

賃金構造基本統計調査で35〜39歳の年収を企業規模別に見ると、従業員1,000人以上の企業では900.7万円、10〜99人の企業では656.9万円でした。大手の監査法人から中小の税理士事務所に移ると、同じ年代でも年収の水準が下がる可能性があります。

一方で、監査法人では身につかない税務の実務経験は、その後のキャリアの選択肢を広げます。税務の経験を数年積んでから、大手の税理士法人やコンサルティングファームに移って年収を戻す人もいます。

公認会計士の転職先の探し方は、公認会計士に強い転職エージェントの比較で紹介しています。

税理士事務所の規模で変わる年収の違い

事務所の規模による年収の違いは、平均だけを見ると見落としやすいポイントです。令和7年の賃金構造基本統計調査では、企業規模別の平均年収にほとんど差がありませんでした。

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企業規模平均年収平均年齢賞与
1,000人以上800.1万円35.5歳176.2万円
100〜999人828.3万円39.1歳145.3万円
10〜99人808.7万円46.4歳94.0万円

平均が並んでいるのは、規模によって働く人の年齢が大きく違うためです。10〜99人の企業は平均年齢が46.4歳で、1,000人以上の企業より11歳ほど高くなっています。

同じ年齢どうしで比べると、規模が大きいほど年収が高い傾向がはっきり表れます。

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年齢1,000人以上100〜999人10〜99人
25〜29歳625.7万円661.0万円511.6万円
35〜39歳900.7万円779.8万円656.9万円
40〜44歳1,000.9万円967.5万円797.3万円
45〜49歳1,078.6万円1,003.0万円963.2万円

※ 出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別第1表・第5表(公認会計士,税理士、男女計)。年収は毎月の給与×12+賞与で計算

所長と数名で運営する個人の税理士事務所の年収

所長と数名の職員で運営する個人の税理士事務所は、従業員10人未満のため公的統計の対象に入っていません。給与の決め方は所長の方針に左右されやすく、事務所ごとの差が大きいのが特徴です。

統計で最も規模が小さい10〜99人の企業を見ても、35〜39歳の年収は656.9万円で、1,000人以上の企業の900.7万円より240万円ほど低くなっていました。賞与も94.0万円と、1,000人以上の企業の半分ほどです。MS-Japanは、中小規模の事務所では経験を積んだベテランでも600万〜800万円前後で頭打ちになるケースが多いとしています。

その一方で、所長との距離が近く、決算から申告まで一人で担当できる機会が多いのは小規模事務所の利点です。早いうちに業務の幅を広げておけば、次の転職で評価される経験になります。

職員数十〜数百名の中堅・大手税理士法人の年収

職員が数十人から数百人規模の税理士法人は、等級や役職ごとに給与の水準が決まっていることが多く、昇給の道筋が見えやすい職場です。統計では、100〜999人の企業の40〜44歳の年収は967.5万円でした。

MS-Japanによると、国内の大手・中堅税理士法人の平均年収は残業代を含めずに500万円前後が目安で、未経験者は400万円前後から始まるケースが多いとしています。マネージャーに昇格すると、800万〜1,000万円前後も視野に入ります。

税理士法人の数は2026年3月末で5,287法人と、1年前の5,146法人から増えました。個人の事務所から税理士法人へ移る選択肢も増えています。

※ 出典:MS-Japan「税理士法人の年収は?Big4・大手・中小の違いと年収1,000万円を目指す方法」(2026年6月15日)、国税庁「国税庁レポート2026」「国税庁レポート2025」

BIG4税理士法人と専門分野に特化した税理士法人の年収

BIG4税理士法人とは、世界的な会計事務所のグループに属する4つの大手税理士法人のことです。大企業や外資系企業の税務を扱うため、年収の水準は高めです。統計でも、従業員1,000人以上の企業で働く40〜44歳の年収は1,000.9万円でした。

MS-Japanは、BIG4税理士法人の年収をスタッフで450万〜650万円前後、マネージャーで1,000万円前後としています。スタッフの年収は残業代に大きく左右され、月40時間程度の残業を想定すると100万〜150万円程度上乗せされるとのことです。

移転価格や国際税務、事業承継、組織再編など、特定の分野に特化した税理士法人も、専門性に見合った年収を提示する傾向があります。こうした法人では、規模よりも担当分野の経験が年収を左右しやすくなります。

税理士事務所の役職と経験年数で変わる年収

同じ事務所で働き続けた場合、年収は経験年数と役職に応じて上がっていきます。どの段階でどのくらい上がるのかを知っておくと、今の年収が適正か判断しやすくなります。

税理士事務所での経験年数ごとの年収の上がり方

賃金構造基本統計調査では、その職種での経験年数ごとの年収も公表されています。公認会計士,税理士の年収は、経験0年で526.6万円、5〜9年で683.8万円、15年以上で1,015.9万円でした。経験15年以上になると、0年の約2倍の水準です。

この数字は残業代を含まない基本の月給と賞与から計算したもので、実際の年収はもう少し高くなります。また、経験0年には監査法人に入ったばかりの公認会計士も含まれるため、無資格や科目合格の段階で事務所に入った人の初年度は、これより低くなることが多いでしょう。

※ 出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別第10表(所定内給与額×12+年間賞与で計算)

年齢と転職のしやすさについては、税理士の転職は何歳まで?で詳しく紹介しています。

税理士法人のスタッフ・マネージャー・パートナーの年収

規模の大きい税理士法人では、役職ごとに年収の幅がおおむね決まっています。MS-Japanが紹介しているBIG4税理士法人の目安は次のとおりです。

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役職年収の目安(BIG4税理士法人)主な役割
スタッフ450万〜650万円前後申告書の作成や調査の実務
シニアスタッフ600万〜800万円程度案件の実務の中心、後輩の指導
マネージャー1,000万円前後案件の管理、顧客との窓口
パートナー1,500万円以上(数千万円に達するケースもある)法人の経営、顧客の獲得

※ 出典:MS-Japan「税理士法人の年収は?Big4・大手・中小の違いと年収1,000万円を目指す方法」(2026年6月15日)。統計ではなく、転職サービスによる目安です。主な役割は一般的な例

国内の大手・中堅税理士法人でも、マネージャーに昇格すると800万〜1,000万円前後が視野に入るとされています。年収が大きく上がるのは、案件の管理や顧客対応を任されるマネージャーへの昇格のタイミングです。

勤務する人と所長(開業税理士)の年収の違い

事務所の所長である開業税理士は、給与ではなく事業の所得を得ているため、賃金構造基本統計調査の対象外です。開業税理士の年収を示す最新の公的統計はありません。

開業税理士の年収は、事務所の売上から職員の給与や家賃などの経費を差し引いた残りです。顧問先の数と顧問料によって、勤務していた頃を大きく上回ることも、下回ることもあります。第7回税理士実態調査では、開業税理士の年齢は60代が28.9%、70代が27.0%で、長く事務所を続ける人が多い働き方でもあります。

開業税理士の年収と事務所の売上規模は、税理士の年収はいくら?で詳しく紹介しています。

税理士事務所の年収が低いといわれるのはなぜ?

税理士事務所の年収が低いといわれるのには、事務所の稼ぎ方と給与の決め方に理由があります。すべての事務所に当てはまるわけではありませんが、当てはまる項目が多い職場ほど、今のまま年収を上げるのは難しくなります。

税理士事務所は顧問料が収益の中心で一人あたりの売上に上限がある

多くの税理士事務所の収益は、顧問先から毎月受け取る顧問料と、決算・申告の報酬です。一人の職員が担当できる顧問先の数には限りがあるため、担当件数を増やす以外に売上を伸ばしにくい仕組みです。

経済センサス(2021年)によると、税理士事務所の従業者1人あたりの売上は、従業者1〜4人の事務所で888万円、50人以上の事務所で1,266万円でした。職員の給与はこの売上から払われるため、1人あたりの売上が少ない事務所ほど、給与を上げる余地も小さくなります。

アカウントエージェントの調査でも、税理士が転職を考えたきっかけで最も多かったのは「年収・待遇への不満」で46.9%でした。

※ 出典:総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」、アカウントエージェント「税理士の転職に関する実態調査【2026年5月】」

小規模事務所は昇給や評価の仕組みが整っていないことが多い

職員が数名の事務所では、評価の基準や昇給の規程が文書になっておらず、所長の判断で給与が決まることが少なくありません。仕事の量が増えても、それが給与に反映されるかどうかは所長次第です。

統計でも、10〜99人の企業は同じ年齢で比べると年収が低めでした。25〜29歳では511.6万円で、100〜999人の企業(661.0万円)より150万円ほど低くなっています。年齢が上がっても差は縮まりきらず、45〜49歳でも1,000人以上の企業とは115万円ほどの開きがありました。昇給の仕組みの違いが、小規模事務所の年収が低いといわれる一因と考えられます。

固定残業代や賞与の扱いで実際の年収が変わる

同じ想定年収の求人でも、固定残業代が何時間分含まれているか、賞与がどれだけ支給されているかで、実際の手取りは変わります。

賃金構造基本統計調査では、1,000人以上の企業の賞与は176.2万円、10〜99人の企業は94.0万円でした。1か月の残業時間も1,000人以上の企業は10時間、10〜99人の企業は4時間です。大手は賞与と残業代の割合が大きく、繁忙期の働き方によって年収が変わりやすいと言えます。

小規模事務所では、繁忙期に残業が増えても固定残業代の範囲として扱われ、年収が変わらないこともあります。求人を見るときは、年収の総額だけでなく内訳を確認しましょう。

働きにくい事務所の見分け方は、税理士事務所はやめとけと言われる理由で紹介しています。

税理士事務所で年収を上げる4つの方法

税理士事務所で年収を上げる方法は、資格を取る、担当する業務を変える、働く場所を変える、の3つに分けられます。具体的には次の4つです。

科目合格や税理士登録で担当範囲と手当を広げる

税理士試験の科目合格は、資格手当と担当業務の両方で年収に効きます。手当は1科目で月1万円程度の例があり、科目が増えるほど上乗せも大きくなります。

5科目に合格して税理士として登録すると、税務代理や申告書への署名など、税理士にしかできない仕事を担当できるようになります。所属税理士として顧問先の責任者を任されるようになれば、年収の水準も一段上がります。

相続・国際税務・組織再編など単価の高い業務の経験を積む

相続税や事業承継などの資産税、海外との取引に関わる国際税務、会社の合併や分割に関わる組織再編は、1件あたりの報酬が高い分野です。判断の難しい仕事が多く、経験のある人が限られているため、事務所の中でも転職市場でも評価されやすくなります。

今の事務所が記帳と申告の業務中心で、こうした案件に関わる機会がない場合は、専門分野に強い事務所や法人に移ることも選択肢です。

規模の大きい税理士法人へ移る

同じ年齢で比べると、規模の大きい企業ほど年収は高い傾向があります。35〜39歳では、10〜99人の企業の656.9万円に対し、1,000人以上の企業は900.7万円でした。

アカウントエージェントの調査では、転職経験のある税理士270名のうち、直近の転職で年収が増えた人は82.2%でした。転職経験者の自己申告による結果ですが、規模や業務の幅を広げる転職で年収を上げた人が多いことがわかります。

※ 出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別第5表、アカウントエージェント「税理士の転職に関する実態調査【2026年5月】」

事業会社の経理・税務部門へ移る

税理士事務所で身につけた決算と税務の経験は、事業会社の経理部や税務部門でも活かせます。大企業の税務部門では、グループ会社の税務管理や税務調査への対応を担当し、役職によっては事務所勤務より年収が上がることもあります。

一方で、経理の仕事全体の年収は高いとは限りません。賃金構造基本統計調査では、会計事務従事者(企業の経理担当などを含む職種)の平均年収は512.2万円、平均年齢は44.0歳でした。税理士の資格を持つ人が事業会社に移る場合は、提示された年収と役職、担当範囲をあわせて比べましょう。

事業会社の経理部への転職については、経理部への転職は難しい?で紹介しています。

年収を上げたい人が税理士事務所の求人で確認したいポイント

想定年収が高く見える求人でも、内訳によっては手取りが今とほとんど変わらないことがあります。求人票と面接で、年収の中身を確認しておきましょう。

税理士事務所の求人票は想定年収を基本給・固定残業代・手当・賞与に分けて確認する

求人票の想定年収は、いくつかの給与を足し合わせた金額です。次の項目に分けて確認すると、求人どうしを正しく比べられます。

  • 基本給
    • 賞与や残業代の計算のもとになる金額
  • 固定残業代
    • 何時間分が含まれているか、超えた分は別に支払われるか
  • 資格手当
    • 科目合格や税理士登録で、いくら支給されるか
  • 賞与
    • 前年の支給実績は何か月分か、業績によって変わるか
  • 昇給
    • 年に何回あり、直近でどのくらい上がったか

想定年収に幅がある求人では、自分の資格と経験だとどの水準になるかを、応募前に確認しておくと安心です。

税理士事務所の面接で聞きたい質問と注意したい回答

面接では、年収と働き方に関わる質問をしておきましょう。回答の具体性から、事務所の実態が見えてきます。

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聞きたい質問安心できる回答注意したい回答
想定年収に固定残業代は何時間分含まれていますか時間数と、超えた分の支払い方法を説明できる「年収に含まれている」だけで時間数が出てこない
繁忙期の残業はどのくらいですか月ごとの残業時間の目安を答えられる「人による」「みんな頑張っている」
資格手当や科目合格手当はいくらですか規程があり、金額が決まっている「所長の判断」で基準がない
直近の昇給の実績と、評価の方法を教えてください昇給額の例と、評価面談の頻度を答えられる「頑張り次第」だけで実績が出てこない
1人あたりの担当件数と業務の範囲はどのくらいですか件数・範囲・補助してくれる人の有無が具体的担当件数が多いのに、補助してくれる人がいない

税理士事務所からの年収アップ転職で転職エージェントが役立つ人

求人サイトでも税理士事務所の求人は探せます。ただ、年収の内訳や事務所の評価制度など、求人票に書かれていない情報まで確認したい人は、転職エージェントを使うと進めやすくなります。

転職エージェントに任せられる年収交渉と非公開求人の紹介

アカウントエージェントの調査では、税理士が転職先を選ぶときに最も重視する条件は「年収・給与水準」で、39.0%でした。年収を上げたい人にとって、エージェントに任せられることは主に次の3つです。

  • 自分の資格と経験から、応募先で見込める年収の相場を教えてもらう
  • 内定が出たあとの年収の交渉を、担当者に代わりに行ってもらう
  • 求人サイトに載っていない求人や、事務所の評価制度・残業の実態を教えてもらう

在職中で面接の日程を組みにくい人や、年収の交渉を自分でするのが苦手な人には、特に役立ちます。

資格と経験に合った税理士向け転職エージェントの選び方

税理士事務所からの転職でエージェントを選ぶときは、次の3点を確認しましょう。

  • 会計事務所・税理士法人の求人をどのくらい扱っているか
  • 無資格・科目合格・税理士など、自分の立場に合う求人が多いか
  • 担当者が税務の業務内容と、事務所ごとの給与体系を理解しているか

1社だけでは紹介される求人に偏りが出るため、会計業界に強いエージェントを中心に2〜3社に登録して比べる方法もあります。

税理士に強い転職エージェントを比べる

税理士事務所・税理士法人の転職に対応したエージェントの特徴や違いは、税理士に強い転職エージェントの比較にまとめました。各社の評判はレックスアドバイザーズの評判、ヒュープロの評判、MS-Japanの評判で紹介しています。

税理士事務所の年収でよくある質問

地域による違い、賞与、事業会社の経理との比較、試験との両立、今後の見通しについて、よく出る疑問に答えます。

税理士事務所の年収は地域でどのくらい違う?

地域によって年収の水準は異なります。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の「税理士」のページでは、都道府県を選ぶと地域ごとの年収や求人の賃金を確認できます。ただし地域別の統計は対象者が少なく、年ごとに数値が動きやすいため、目安として見ましょう。転職を考えている人は、希望する地域の求人の年収もあわせて比べると相場をつかみやすくなります。

税理士事務所の賞与はどのくらい出る?

賃金構造基本統計調査の公認会計士,税理士では、1年間の賞与は1,000人以上の企業で176.2万円、100〜999人で145.3万円、10〜99人で94.0万円でした。従業員10人未満の事務所は統計がなく、寸志程度のところや業績に応じて支給するところもあります。求人票では前年の支給実績を確認しましょう。

税理士事務所と事業会社の経理では、どちらが年収が高い?

資格と役職によって変わるため、一概には言えません。賃金構造基本統計調査では、会計事務従事者(企業の経理担当などを含む職種)の平均年収は512.2万円でした。公認会計士,税理士の平均810.8万円と比べると低い水準ですが、無資格のスタッフの場合は、事業会社の経理部のほうが年収が高いこともあります。詳しくは経理部への転職は難しい?で紹介しています。

税理士試験の勉強をしながら働くと年収はどうなる?

勉強時間を確保するために残業の少ない事務所や働き方を選ぶと、その分、年収は抑えめになりやすくなります。一方で、試験前に休暇を取れる制度や、受験費用の補助がある事務所もあります。科目に合格すれば資格手当や担当業務の広がりで年収が上がるため、合格までの数年間をどう過ごすかを考えて職場を選びましょう。

税理士事務所の年収はこれから上がる?

上がるかどうかは言い切れませんが、税理士への需要は高い状態が続いています。job tagによると、ハローワークの税理士の有効求人倍率は2.38倍(2025年度)で、仕事を探す人1人に対して2件以上の求人がありました。開業税理士の高齢化も進んでおり、事業承継や人材の確保を急ぐ事務所は増えると考えられます。一方で、記帳や入力の作業は会計ソフトやAIで減っていく可能性があり、相談や判断を担える人ほど年収が上がりやすくなるでしょう。

税理士事務所の年収を上げるために次にやること

税理士事務所の年収は、統計の平均810.8万円だけでは判断できません。自分の年収を比べるときは、次の3点を確認しましょう。

  • 資格
    • 無資格は250万円程度から、科目合格で手当と担当業務が増え、税理士登録で水準が一段上がります
  • 事務所の規模と年齢
    • 同じ35〜39歳でも、10〜99人の企業は656.9万円、1,000人以上は900.7万円です。自分の年齢と事務所の規模に近い数字と比べましょう
  • 年収の内訳
    • 固定残業代、資格手当、賞与の実績を分けて確認すると、求人どうしを正しく比べられます
税理士に強い転職エージェントを比べる

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※本記事の数値は2026年10月16日時点で確認したものです。統計や調査は更新されることがあるため、最新の情報は各出典をご確認ください。

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